サッカースタジアムは誰のものか
新カンプ・ノウ計画
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サッカークラブFCバルセロナのホームスタジアム「カンプ・ノウ」は、誕生から約60年のながきにわたりバルセロナの人々に愛され続けている。しかし近年、収容人数の拡張、屋根の設置、使い易さの改善、老朽化への対応などが求められるようになった。そこで改築設計コンペが開催され、2016年3月に日建設計+Joan Pascual-Ramon Ausió Arquitectesの案が当選。「原型のエッセンスを継承しつつも、そこに現代ならでは新たな型を創造しようと考えました。また、世界的なクラブではあるけれども、カタルーニャの人々にとって大切なことは何か。そこを考えて設計をしました」と設計担当の勝矢武之は振り返る。
アクティビティを誘発するオープンなスタジアム
FCバルセロナは、ソシオと呼ばれるファン組織が運営するクラブです。私たちは、こうした民主制を尊重し、カンプ・ノウを、単に、いちサッカークラブの所有するスタジアムとして捉えるのではなく、バルセロナ市民に開かれたパブリック性の高い建物として捉えることとしました。
最初は他の多くのスタジアム建築のように、外装デザインによってFCバルセロナらしさを表現しようとしました。しかし、実際に現地に赴き気候や人々との触れ合いを通して、せっかくの地中海側の温暖な気候を享受できないのはもったいない、という想いに至り、思い切って、外装を取り払い、より開放的な案を考えました。
最初は他の多くのスタジアム建築のように、外装デザインによってFCバルセロナらしさを表現しようとしました。しかし、実際に現地に赴き気候や人々との触れ合いを通して、せっかくの地中海側の温暖な気候を享受できないのはもったいない、という想いに至り、思い切って、外装を取り払い、より開放的な案を考えました。
屋外に面した3層のコンコースは、外装を取り払えば、外気を感じる気持ちの良い空間となります。そこで、コンコースを深い庇に覆われた半屋外の幅員約20メートルの広い空間とし、テラス、カフェやバー、共用のソファーなどを設置する計画案としました。現状ではただ通過するだけだったコンコースに人が滞留するようになり、試合前後の時間や、場合によっては試合のない日でも、人々が多様なアクティビティを生み出す、そんなパブリックスペースとなるように考えています。
また、オープンなテラスからはまちが一望できますが、まちからもテラスにいる人々の活動が見え、スタジアムとまちが相互に視覚的につながるようになります。そのことも、一つのパブリック性であると考えています。
また、オープンなテラスからはまちが一望できますが、まちからもテラスにいる人々の活動が見え、スタジアムとまちが相互に視覚的につながるようになります。そのことも、一つのパブリック性であると考えています。
まちとの関係性を尊重した周辺広場
まちと直接接するスタジアムの周辺部分にこそ、人々の生活が深く関わってきます。そこで建物だけでなく周辺部分とまちとの関係性を尊重したデザインを行いました。スタジアムの周辺には道路との間の壁や段差も少なく、敷地内により自由に出入りできるように計画しています。
特徴的なのは広場です。ミュージアムやショップが盛り上がった地面の下から顔を出す形で設置された美しい折り紙状のランドスケープとなっており、その存在がまちとのつながりを分断することはありません。まちとスタジアムがシームレスにつながり、これまで以上に開かれた空間となるのです。一方でランドスケープと一体化したこれらの施設や植栽やストリートファニチャーが人々の滞留を促し、通りすぎるだけでない、賑わいと新たなアクティビティを生む空間になるように計画しています。
近い将来、改修工事を開始し、スタジアムを使用しながら徐々に進めていく予定です。バルセロナ市民にとって想い出深いこの場所に、選手やファンはもちろん、バルセロナ市民や世界の人々にとってのパブリックスペースとして、そして、人々のアクティビティを誘発する空間としての新たな価値を加えていきたいと考えています。
特徴的なのは広場です。ミュージアムやショップが盛り上がった地面の下から顔を出す形で設置された美しい折り紙状のランドスケープとなっており、その存在がまちとのつながりを分断することはありません。まちとスタジアムがシームレスにつながり、これまで以上に開かれた空間となるのです。一方でランドスケープと一体化したこれらの施設や植栽やストリートファニチャーが人々の滞留を促し、通りすぎるだけでない、賑わいと新たなアクティビティを生む空間になるように計画しています。
近い将来、改修工事を開始し、スタジアムを使用しながら徐々に進めていく予定です。バルセロナ市民にとって想い出深いこの場所に、選手やファンはもちろん、バルセロナ市民や世界の人々にとってのパブリックスペースとして、そして、人々のアクティビティを誘発する空間としての新たな価値を加えていきたいと考えています。