気候変動とエネルギー効率

気候変動を要因とした災害の甚大化による都市や建物への影響は、クライアントへの設計・デザイン提供における重要な課題ととらえています。日建設計は、温室効果ガス削減に向けたグローバルな取り組みに貢献するため、これまで培ってきた都市・環境デザインやエンジニアリングの経験・知見を世界中で活かしています。
また、「2025年カーボンハーフ」達成(2013年比)を目指し、自社において気候変動データの定点観測を継続的に実施しています。

2010年比で全地区総量31%省エネを達成、東京ビル27%省エネを達成

日建設計全地区におけるエネルギー消費量※は、2010年比で31%の削減を達成しました。大阪オフィスの移転やグループ会社の統合に伴い、省エネ改修や貸オフィス面積の最適化を進めた結果、2020年のCOVID-19期を下回るエネルギー消費量を実現しています。
また、役職員一人当たりのエネルギー消費量※は、2010年比で53%の削減となり、年々着実な減少傾向が見られます。
※一次エネルギー換算係数 電気(昼)9.97MJ/kWh、都市ガス45MJ/kWh

日建設計東京ビル(以下、東京ビル)では、照明設定の見直しやLEDへの改修などにより、2010年比で27%の削減を達成し、エネルギー消費量は1,122MJ/㎡となりました。
東京ビルは2003年に竣工し、20年以上が経過していますが、熱源機器は竣工当時のものを継続使用しています。それでも、日々のメンテナンスと運用改善により機器の延命を図り、高効率な状態を維持しています。
一方、水使用量はコロナ禍以降、東京ビルの利用人数の増加に伴い、増加傾向にあります。
2050年のネットゼロ達成を目指し、適切なタイミングでの設備更新も視野に入れながら、さらなる省エネルギーと節水の推進に取り組んでいきます。

都市・建築のプロフェッショナルとして気候非常事態宣言を表明

日建設計が設計した建築から排出される温室効果ガスは、日本全体の約1%を占めることから、当社は2021年3月19日、「気候非常事態宣言」を表明しました。
これは、民間企業の立場から、経済活動と脱炭素社会実現の両立させる道を模索し、社会に対して働きかけていくものです。今後は、2050年を目標に、働き方と都市・建築デザインからカーボンニュートラルを達成するモデルの提起・実現を目指すとともに、当社のクライアントや社会全体にも共有し、働きかけを行ってまいります。

TCFD 提言への賛同表明 設計事務所として国内初の情報開示

2022年10月、当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明するとともに、当社ホームページにおいてTCFD提言に基づいた気候変動に関する情報開示を開始いたしました。
気候変動問題は、日建グループのタグラインで “EXPERIENCE, INTEGRATED ” に込められた想いを最大限に発揮して取り組むべき課題であると捉えております。
TCFD提言に基づく情報開示により、クライアントをはじめとするステークホルダーの皆さまとより意識共有を一層深め、本取り組みを推進してまいります。

用途別BEI値の定量観測で環境性能のボトムアップを目指す

当社では、プロジェクトの省エネルギー性能を、建築物省エネ法の評価指標であるBEI値※を用いて管理しています。
2024年竣工プロジェクトのBEI平均値は以下の通りです。
事務所:0.75
学校:0.77
ホテル:0.74
集会場:0.91
病院:0.87
物販施設:0.81
工場:0.40

2024年4月から大規模建築物を対象に施行された義務基準値については、病院等と集会所等を除く用途で達成されていました。
なお、平均値には2024年1~3月に竣工したプロジェクトや2024年4月以前に適合性判定を受けたプロジェクトも含まれており、結果的に病院等及び集会所等は、平均値が基準値を上回る結果となりました。
今後も、BEI値の継続的な定量観測により、現状の課題を把握し、各プロジェクトにおいて省エネ手法を積極的に導入することで、環境性能のボトムアップを目指してまいります。

※ 建物の省エネルギー性能の指標BEI(Building Energy Index)の値が小さい程、省エネルギー性能が高いことを示す。

次世代超高層ビルのプロトタイプ“Regenerative Tree”を発表

「Regenerative Tree」は、建物が生涯で排出する温室効果ガス(ホールライフカーボン)を抑制するためのさまざまなアイデアを盛り込んだ、次世代超高層ビルのプロトタイプ提案です。
多様な働き方や将来のコンバージョンにも対応する建築計画にくわえ、構造計画の最適化と積極的な木材活用、環境への親和性の高い設備計画により、運用時だけでなく新築・改修・解体時の各フェーズの脱炭素を推進し、ホールライフカーボンを最大40%削減します。

さらなるCO2削減のためにカーボンゼロデジタル技術を実践

豊かさを享受しながらカーボンゼロを実現していくためには、建築や設備の高性能化に留まらない新たな仕組みの導入が必要です。現在、個⼈単位のCO2排出量を可視化し、環境⾏動を促すアプリを開発しており、社内にて先行試行を開始しています。この取り組みを通じて、デジタル技術の活⽤によるカーボンニュートラル化の促進を目指しています。

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