新型コロナウイルスによりもたらされる新しい社会に向けて
~人と自然の大切さ~

Beyond COVID-19 編集委員会 委員長
日建設計総合研究所 理事長
野原 文男
(役職は公開時のものです)

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 この企画の狙いは、COVID-19から学んだことを、その先にある新しい都市や建築、環境デザインに繋げることにあります。連載記事となった19の寄稿文(ビジョン)や外部講師をお招きした3つの座談会から、きっと多くの気づきを得ることができると思います。

日建設計 執行役員 エンジニアリング部門 構造設計グループ プリンシパル 杉浦 盛基 Beyond COVID-19 編集委員会 委員長
日建設計総合研究所 理事長
野原 文男
(役職は公開時のものです)

19 のビジョンから

 会長(当時 社長)の亀井忠夫にはじまり、様々な分野のリーダー、ヨーロッパや中国、中東の駐在員事務所の代表者、さらには日建スペースデザイン、日建ハウジングシステム、日建設計コンストラクション・マネジメント各社の社長による総計19のビジョンをお届けいたしました。
 これらの多くは、コロナを好機と捉え、「新しい社会」への転換の必要性や方向性が語られており、また、予測困難な時代の備え方も示されていました。海外からは世界の様子が伝えられるとともに、感染症の歴史や文化、体制の相違を知る良い機会にもなりました。
 ビジョンにはafterコロナを探るための鍵が隠されていると思います。例えば、“closeからopenへ”、“30分都市圏”、“ウェルネス”、“オフピーク”、“集中と分散”、“複合災害”などです。私が特に印象に残ったのは、「ウィルスは生命系の動的平衡を保つ働きをしている」というある生物学者の言葉から、近江商人の「三方よし」に“環境(自然)”を加えた「四方よし」を目指すべきという提案です。私たちは、コロナ以前から、DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素といった激動する社会に身を置き、加速度的な変化を体感してきた筈ですが、コロナを機に改めて考えさせられました。

座談会企画から

 我々の専門分野以外のエキスパートからお話をお聴きすることで「新しい社会」の手がかりが得られるのではないか。こうした考えから座談会を企画しました。テーマはafterコロナを見据えて、“エンターテインメント”、“DX”、“地域創生”としました。幸運なことに、それぞれのテーマに相応しいゲストをお招きすることが出来ました。
 対談の中から、「次世代をけん引するためには、発想のジャンプが必要」であるとか、「地域創生は、外から与えるのではなく、内にあるものを見つけ育てること」といった指摘があり、これらは、私の記憶の中にしっかり残りました。また、「Beyond コロナにおける場の在り方」について、色々と考えさせられました。座談会は10分から20分程度ですので、未だ観ていない方は是非、アクセスしてみて下さい。

 Beyond COVID-19 スペシャルトーク

「新しい社会」で大切にしたいもの

 今から丁度10年前、東日本大震災を経験した私たちは、脆弱なエネルギーインフラやサプライチェーンの問題に気付き、構造転換を進めてきました。その一方で、日建設計は、“逃げ地図”を発案しています。この取り組みは今でも全国で続けられ、将来、起こるかも知れない津波災害から多くの命を救うことと思います。
 COVID-19を経験した日本を含む世界は、DXをはじめとする大きな変革を加速させる筈です。私たちもその渦中に呑み込まれることになりますが、その一方で、“逃げ地図”のような、人や自然といったかけがえのないものを見失わないことが求められていると思います。

 逃げ地図
 今回の企画はこれで一度、区切りをつけますが、こうした情報発信は継続する必要があると感じています。引き続きご支援を賜れば幸いです。ありがとうございました。(2021年1月29日)
※「Beyond Covid-19 社会・都市・建築」は連載です。今後は、建築家、プランナー、エンジニア、コンサルタント等が各専門の立場でビジョンを定期的に発信していきます。

Beyond COVID-19 編集委員会 委員長
日建設計総合研究所 理事長
野原 文男

1981年:日建設計入社。専門は建築環境デザイン、設備設計。
主にオフィスビルの設計業務に従事し、省エネルギー関連業務の推進に注力。2013年に日建設計総合研究所所長に就任。2020年より同社理事長。

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