銀座駅 リニューアル一部オープン
1世紀ちかく、銀座の交通の要として機能しながら増改築を繰り返し、巨大な地下迷宮の様相を呈していました。
バリアフリー対応、排煙設備などの既存不適格問題の解消、宿命的な老朽化対策のため、長い時間をかけた綿密な計画のもと、大幅なリニューアルが施され、この2020年10月16日、一部オープンしました。
言葉や習慣が違う世界の人々を迎える銀座駅のリニューアルコンセプトは、この駅を「誰にでもわかりやすい空間」にするという、シンプルかつ普遍的なものです。
見た目だけを仕上げ直すリニューアルでは無く、人々が直観的に理解しやすい、ユニバーサル+グローバルな駅に生まれ変わりました。
「誰にでもわかりやすい空間」とするためには、見通しと連続性が重要です。
① 銀座駅のまる・さんかく・しかく
そこで、改札を直感的に認識できるよう、人間が認知しやすい単純な幾何学をコンセプトに、見通しの良い改札空間に整備しなおしました。
黄色い、まるの、銀座線。(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
赤い、さんかくの、 丸ノ内線。(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
シルバーの、しかくい、日比谷線。(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
改札の人の流れを検証したシミュレーション
② 3路線のラインカラー
(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
③ 新しい吹抜け
(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
④ 地上とのシンクロ
イメージであり、現地とは異なる可能性があります
⑤その他、見どころ
土木躯体そのものを見える化し、歴史的建造物としての銀座駅に親しみを持ってもらうショーケース。実はメンテナンスのための開口部も兼ねている。(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
地上出入り口で各ラインカラーに光るガラスは、それぞれの主要改札の形状である、「まる・さんかく・しかく」の模様でデザイン。更に銀座線の「まる」には頭文字のG,丸ノ内線「さんかく」にはM,日比谷線「しかく」にはHが隠れている。(イメージであり、現地とは異なる可能性があります)
プロジェクト概要
建築名称 | : | 銀座駅 |
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建築主 | : | 東京地下鉄株式会社 |
設計 | : | 株式会社日建設計、株式会社交建設計、株式会社日建設計シビル |
主要用途 | : | 駅 |
延べ面積 | : | 約21,500㎡ |
構造 | : | 土木構造、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 |
階数 | : | 地上1階,地下3階 |
施工 | : | 大成建設 |
照明デザイン | : | 松下美紀照明設計事務所 |
サイン計画 | : | アール・イー・アイ株式会社 |
グラフィック作成(軌道内側壁・ビックサイン) | : | ピーディーシー株式会社 |
設計者コメント
向井 一郎
大場 啓史
しかし、総合駅として利便性は向上しましたが複雑な地下施設になってしまったのも事実です。チーム一丸となり「誰にでもわかりやすい空間」をコンセプトに設計しました。
建設時期の異なる土木構造物からなる銀座駅のうち、80年以上前に建設された銀座線の土木躯体を見ることができる工夫をしています。是非、土木の歴史も見て頂ければと思います。
また、リニューアルにより、地上との繋がりや銀座の歴史なども感じることができる駅となっています。駅各所にある仕掛けを見て・感じて、愛着を持って頂けることを願います。
須賀 博之
表層的な化粧直しだけでは無く、文字による誘導だけでも無い、空間の力で人々が直感的に領域や方向を掴むことを可能にし,安心した移動や滞在を提供することをチーム一同で目指しました。
「黄色い まるの 銀座線」といった各線の光色と空間形状を融合した設計は、当時2歳だった娘が型はめ玩具のシンプルな幾何学や明確な色を早期に理解した姿から着想を得ています。
子供からお年寄りから海外の方、全ての方にとって、新しい空間が移動や滞在のアシストをしてくれたら光栄です。