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ロボットフレンドリービルディングに向けた実証実験
~ビルをロボット活用に最適な環境へ~

 日建設計は、自律走行型配送ロボットRICE(協力:アスラテック株式会社)を使った来客対応の実証実験を2021年7月5日(月)から7月9日(金)まで東京ビル受付エリアにて実施いたしました。
 建物へのロボット導入事例が増える中、建物に求められる設えや運用ルールは整備されていません。ロボットの機能向上に期待するだけでなく、これらを整備し、ロボットフレンドリービルディングの実現を目指します。今回の実証実験では、来客案内および物品配送における運用上の課題抽出を行いました。また、自動車の交通ルールと同様に走行レーン、一時停止、駐車禁止などを設定し、それぞれのルールが安全で効率的な運用に効果があるかを検証いたしました。

実証実験の概要

実証実験期間:2021年7月5日~同年7月9日
場所:日建設計東京ビル2階
概要:自律走行型配送ロボットを用いた、受付から会議室までの来客案内および物品配送
検証内容:1.来客案内、物品搬送時の課題抽出
     2.交通ルール設定の有効性の確認

交通ルールの設定例

実証実験で気づいた課題や効果

 実証実験を通して、一時停止や駐車禁止などの交通ルールの設定は安全性を高めることに有効であることが確認できました。走行レーンについては、ロボットのセンサで感知しにくい障害物との接触をさけるために設定することは有効ですが、走行可能範囲の制約が過度になると、スムーズな運行に支障をきたすため、適度な制限が求められることが確認されました。
 また、ロボットを活用して、既存業務の負担を軽減するという本来の目的を達成するためには、運用方法の細かな調整が必要であることが浮き彫りとなりました。

 実証にご協力頂いた方、見学された方からは「面白い」、「未来を感じる」、「ロボットがかわいいので見守っていたくなる」などの感想を頂いたほか、「ロボットの操作方法や次の動作がわかりにくい」、「移動速度が遅すぎる」などのご指摘もいただきました。

 今後は、複数ロボットの併用やフロア間の移動など、より複雑な運用を想定し、安全性や効率だけでなく、周辺の人に対する心理的な影響も検証していく予定です。 既存の受付、館内配送、ビル管理業務と相互補完可能な運用方法についても引き続き検討を深め、人とロボットが心地よく働ける、ロボットフレンドリーな建物設計手法の確立を目指します。
 また、実証実験で得た知見を活かし、ロボット導入を検討されているお客様へのサポート業務も来年以降展開することを視野に準備を進めてまいります。

HOMEと呼ばれる充電機器に待機しているロボットRICE。充電中は眠った表情をしている。お客様用のペットボトルのお茶を載せて、会議室まで配送する。

あらかじめRICEが通る範囲を設定した走行レーンには、利用者への注意喚起のため、「ロボットが通ります」のステッカーを貼付。
ロボット到着位置には、「ロボットが停止します」のステッカーを貼付。

実証実験の背景

 少子高齢化により労働力不足が深刻化しつつある中、ビル管理業務においてはすでに人材確保が難しくなっています。そこで、日建設計は建築的な工夫とIoT技術でビル管理の手間を軽減し、人材不足を解消するSmart Operation Buildingを2020年に提案しました。
 ロボットの活用は、Smart Operation Buildingの主要テーマの一つであり、清掃、警備、設備保守、配送等、幅広い業務への貢献が期待されています。また、人と人との接触を減らす意味でWITHコロナの社会においても有効です。しかし、現時点では建物内での運用ルールが明確ではなく、安全性の確保は個々のロボットに委ねられています。また、扉や段差、通路幅員などの物理的障壁、エレベーターやセキュリティ、防災設備との連携など解決すべき課題は多くあります。この実証実験は、自律走行ロボット導入における課題を具体的に抽出し、ロボットフレンドリービルディングを実現するために必要なビル側およびロボット側の仕様整理、ルール作りに展開することを目的としています。

日建設計が実現を目指すSmart Operation Buildingとは

Smart Operation Buildingのイメージ

 Smart Operation Buildingとは以下の5つをキーワードに、建築的な工夫と最新のテクノロジーでビル管理の手間を70%削減することを目指しています。
「LESS」:管理の手間がかかるものをなくし、管理点数を削減
「EASY」:清掃が簡単なものを選び、点検しやすい配置
「ROBOT」:ロボットが活躍できるロボットフレンドリーな建築計画
「CLOUD」:データを活用しリモートで複数の建物を群管理
「ON DEMAND」:センシングに基づいた通知による現地作業頻度の最適化

自律走行型配送ロボットRICEについて

 香港のRice Robotics社が開発した自律走行型配送ロボットで、日本ではアスラテックが代理店を務めています。周囲の状況に応じて自動で速度を変更することができ、人や障害物を感知すると自動で停止・回避を行うことで安全性に配慮しています。アプリのカスタマイズやシステムとの連携が可能で、例えばエレベーターと連携することでフロアを移動して配送を行うこともできます。親しみやすいデザインや、タッチパネルによる直感的な操作性など、信頼感や安心感に配慮したフレンドリーなロボットです。

担当者

新領域開拓部門 デジタルソリューションラボ シニアダイレクター 滝澤 総
新領域開拓部門 デジタルソリューションラボ 渕上敏生
新領域開拓部門 DDL ダイレクター 角田大輔
新領域開拓部門 サスティナブルデザインラボ ラボリーダー 後藤悠
新領域開拓部門 サスティナブルデザインラボ アソシエイト 舘 景士郎
新領域開拓部門 サスティナブルデザインラボ アソシエイト 谷口洋平
エンジニアリング部門 設備設計グループ 黒羽亮一

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