環境負荷低減や働きやすさに関する企業の取組を評価する、工場建物のサステナビリティ評価システムを開発
サステナブルな工場整備を推進し、建設プロセスの改善を目指す
株式会社日建設計(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:⼤松敦、以下「日建設計」)と株式会社日建設計総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役所長:朝倉博樹、以下「日建設計総合研究所」)は、工場建物の環境負荷低減、品質確保、働きやすさなどに関する取組を評価するサステナビリティ評価システムを開発しました。本システムに対象企業の施設管理の考え方を取り込むことで、企業独自の評価指標を策定できるようになります。
開発の背景:工場施設を総合的に評価するツールの不在
食品メーカーなどの製造事業者は、事業活動のあらゆる段階において省エネルギーに努めており、特に生産現場での CO2 排出量が少ない燃料への転換や高効率設備の継続的な導入を進めています。また、環境負荷低減への取組を行う一方で、健康経営推進のため、従業員の健康に配慮した工場の室内環境整備など環境品質を高める取り組みも行っています。しかし、それらの既存施設の情報を総合的に評価・分析し、共有する方法が無く、新たな施設整備の度に条件整理と建物の仕様決定に多くの時間を要していました。既に運用されている総合環境性能評価指標として CASBEE※1 や LEED※2 がありますが、これらの指標はオフィス部分を対象とするため、工場施設を適切に評価することが困難でした。
そこで、低炭素で、かつ環境品質に優れた生産施設整備を推進することを目的として、工場施設における総合的な環境性能を評価する手法を開発しました。本システムを活用し、既存の工場施設を客観的に評価することで、新たな施設整備の際に達成すべきコンセプトが明確化され、サステナブルな生産施設の整備が推進されるとともに、設計から維持管理に至るまでの建設プロセスを、より確実にマネジメントできると考えられます。また、統一感のある事業活動や投資対効果の向上につながることが期待されます。
※1 CASBEE:一般社団法人住宅・建築SDGs推進センターが作成した、建築物や街区、都市などに係わる環境性能を様々な視点から総合的に評価するためのツール。「環境品質」を「環境負荷」で除した指標「建築物の環境性能効率(BEE)」で性能を評価します。
※2 LEED:非営利団体U.S. Green Building Councilが開発、運用し、Green Business Certification Inc.が認証の審査を行っている、ビルト・エンバイロメント(建築や都市の環境)の環境性能評価システム。「立地と交通」や「持続可能な敷地」などの9カテゴリー、46の評価項目で評価します。
そこで、低炭素で、かつ環境品質に優れた生産施設整備を推進することを目的として、工場施設における総合的な環境性能を評価する手法を開発しました。本システムを活用し、既存の工場施設を客観的に評価することで、新たな施設整備の際に達成すべきコンセプトが明確化され、サステナブルな生産施設の整備が推進されるとともに、設計から維持管理に至るまでの建設プロセスを、より確実にマネジメントできると考えられます。また、統一感のある事業活動や投資対効果の向上につながることが期待されます。
※1 CASBEE:一般社団法人住宅・建築SDGs推進センターが作成した、建築物や街区、都市などに係わる環境性能を様々な視点から総合的に評価するためのツール。「環境品質」を「環境負荷」で除した指標「建築物の環境性能効率(BEE)」で性能を評価します。
※2 LEED:非営利団体U.S. Green Building Councilが開発、運用し、Green Business Certification Inc.が認証の審査を行っている、ビルト・エンバイロメント(建築や都市の環境)の環境性能評価システム。「立地と交通」や「持続可能な敷地」などの9カテゴリー、46の評価項目で評価します。
導入事例:明治工場施設/「人と環境にやさしい工場」を目指した取組を評価し、補強や見直しが必要な性能を見える化
本システムは、株式会社明治(本社:東京都中央区京橋二丁目2番1号、代表取締役社長:松田 克也、以下「明治」)の工場施設において初めて導入され、同社の工場管理の知見を反映した環境性能評価ツールとして運用を開始しています。明治の指標は、「人と環境にやさしい工場」をテーマに、働きやすさ、安全・安心、将来的な設備更新や用途変更に対する柔軟性など7つのカテゴリーとイノベーションの計8の評価項目(表1参照)で構成されています。各項目はAHP法※3を用いて重みづけされており、取組状況に応じた評価点が設定されます。評価点の合計点数(100点満点)によって、ダイヤの数による5段階の格付けを与えます。
本システムで竣工済みの工場及び設計中の工場を評価し、標準想定ケース(必要最低限の性能)と比較することで、補強する性能や見直す性能のバランスのとれた検討が可能となります。例えば以下の例では、工場1に比べ工場2が、サステナブルな工場として、特に、A. 品質確保上の衛生的な工場、B. 働きやすい工場、E. 環境リスクに強い工場に関する性能を強化していることを示すことができます。
今後の運用と展開
今後、日建設計及び日建設計総合研究所は、新工場建設の設計において本システムを活用し、基本設計時、実施設計時、竣工時など各設計の節目で評価・分析することで、建物コンセプトの確認や過少・過剰設計の抑制に繋げていきます。社会ニーズの変化・多様化に即時対応できるフレキシブルな工場、省人化・維持管理が容易な工場、SDGsなど社会課題解決に貢献する工場など、施設価値を客観的に把握し、プロジェクトで達成すべきコンセプトを関係者で共有していく考えです。また既存工場への適用方法や建設コストの反映による投資評価の方法についても、検討を行っていく予定です。
※3 AHP法(Analytic Hierarchy Process):階層分析法とも呼ばれ、意思決定における問題の分析において、人間の主観的判断とシステムアプローチの両面からこれを決定する問題解決型の意思決定手法。
※3 AHP法(Analytic Hierarchy Process):階層分析法とも呼ばれ、意思決定における問題の分析において、人間の主観的判断とシステムアプローチの両面からこれを決定する問題解決型の意思決定手法。
日建設計について
日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。
日建設計総合研究所について
日建設計総合研究所は、日建設計を中核とする日建グループの“シンクタンク”です。持続可能な建築・まちづくりの実現を目指し、建築と都市のライフスタイル全般にかけて調査・企画・コンサルティングサービスを提供しています。近年は、広く国内外の大学や研究所、企業等と連携を図り、持続可能な建築・まちづくりについての研究活動に取り組んでいます。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社日建設計 広報室 Tel. 03-5226-3030 e-mail:webmaster@nikken.jp
株式会社日建設計総合研究所 広報デザイン室 Tel. 03-5259-6080 e-mail:webmaster_ri@nikken.jp
株式会社日建設計総合研究所 広報デザイン室 Tel. 03-5259-6080 e-mail:webmaster_ri@nikken.jp