BIM

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BIM(Building Information Modeling)の登場から、まもなく10年。複雑な三次元形状の設計などの三次元CADとしての活用は大きく促進された。一方、環境・設備エンジニアが新時代の技術と期待した「ビル情報の有機的な統合」は実現の途である。高品質で効率よい、ライフサイクル情報共有ツールとしてのBIMへの取り組みが日々続けられている。

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RELATED EXPERTISE

BIM—直近の課題

環境・設備エンジニアの視点で見ると、BIMはまだまだ力不足と言わざるを得ない。直近の課題としてはライブラリの整備がある。すなわち製造者から提供される部品データ(ライブラリ)及び、設計段階で中立的に使用できる製造者フリーの部品(ジェネラル部品)が少ないことであり、実務的に発注図書の作図作業として二次元からBIMに移行した際に、まず直面する問題である。
日建設計では、この問題を打破し、設計、積算、施工、運用などの各段階で必要となる属性を入れ替えられる部品共通データベースの研究開発を行っている。BIMライブラリーコンソーシアムの活動など業界動向などを見守りつつ整備を進めたい。
もう一つの課題は、技術計算ツールの整備である。三次元情報の活用が設計業務のルーティンワークを大幅に削減できることは自明であるが、この取り組みはベンダーにより優先順位が異なるため、その動き(バージョンアップ)を注視しつつ、Dynamo(ビジュアルプログラミング言語の一つ)などを用いた内製化と併せた両輪での開発を行っている。

設備設計のBIM検討フレーム 設備設計のBIM検討フレーム

発展するライブラリ~部品共通データベースのイメージ 発展するライブラリ~部品共通データベースのイメージ

BIM—期待の実現

ハードウェアの制約なく、建物内の要素(情報)が柔軟に連携するBIM。躯体と外装、設備機器相互に情報が連携・連成し、環境やエネルギー、コストが時々刻々わかるようになるのであろうか。これにAI(人工知能)機能も加わってくると、環境・設備エンジニアは更に高みをめざして行く必要があろう。そこまで進化しなくてもBIMは建物情報のプラットフォームとして十分活用されよう。コスト、環境配慮、FM(Facility Management)との連携や、センサや測位などのIoTとの連携などが考えられる。ライフサイクルでビル情報を活用していくためのBIMとは何か、夢は広がる。
BIMへのもう一つの期待は業務プロセスの改革である。日建設計では現在DSM(Design Structure Matrix)に基づいた標準業務フローを有しているが、まだまだ手戻りが多く改善の余地は多い。「見える化」によりコラボレーションを促進することで、意思決定の前倒し(フロントローディング)の実践など、BIMならではの品質確保と効率化の両立が期待できる。

BIMコンセプトモデル(竣工後のデータも蓄積していく) BIMコンセプトモデル(竣工後のデータも蓄積していく)

各種情報を統合するイメージ 各種情報を統合するイメージ

FMに必要な基本設計レベルの情報を常に継続していく FMに必要な基本設計レベルの情報を常に継続していく

BIMの広がり~皆で、楽に、確実に

BIM化で効率向上が期待できる設備設計 BIM化で効率向上が期待できる設備設計

機器台帳とBIM連携検討例 機器台帳とBIM連携検討例

 設備設計の醍醐味は、必要な機能を有した快適な空間を、できるだけ少ないエネルギーで創り出すこと。BIMの基本情報である位置情報を最大限活用し、設備設計を支援する。 (吉永 修、山岸陽子、植田里沙、新堀 真)

図面を「見える」形に

BIMによる設計
(日本無線川越事業所プロジェクト)

作成した3Dプリンタ模型

3Dプリンタ模型による施工検討 3Dプリンタ模型による施工検討

 発注者、管理者、施工者など多くの関係者と、設計意図を正確に速く共有することが、設計者の最大の責務。デジタル技術によって複雑化する設計の時代だからこそ、デジタルツールも最大限生かした情報共有を進めたい。(小澤 諭)

納まらないライブラリ

 残念ながら、設計の経験値と共に納まらない経験値も蓄積。同じ過ちは繰り返さないため、技術伝承にはデジタルの力も利用。もちろん、納まっている標準納まりも豊富に。(石川浩美、山口 慶、畑中壮大、守 雅俊)

「見えたもの」を図面に

3Dスキャナと撮影風景 3Dスキャナと撮影風景

点群撮影データによる機械室全景 点群撮影データによる機械室全景

点群データから配管中心線データへの変換 点群データから配管中心線データへの変換

BIM化最終成果品 BIM化最終成果品

 貴重な建物情報である竣工図データ。二次元化された段階で情報が圧縮されているほか、部分改修では作成されず、残念ながら現況とずれることも多い。現地の「一見」情報を図面化する点群の活用はライフサイクルでの建物運用に欠かせない。(山崎祐二、吉田真之介)

情報の有機的な連携~BIMCAST

BIMとBEST等を連携するBIMCASTの開発 BIMとBEST等を連携するBIMCASTの開発

BIMのIFCタグ構成 BIMのIFCタグ構成

具体的な連携例 具体的な連携例

連携した建築データを用いて熱負荷計算 連携した建築データを用いて熱負荷計算

 法律上も確認が必要になった建物の省エネルギー性能。この省エネ計算をはじめ、機器選定や環境計算には詳細な建物情報が必要。BIMデータと各種エネルギー・設備計算の有機的な連携で、正確、効率的な業務を実現していく。(飯田玲香、三山 毅)

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