日本の技術が世界へ、駅まち一体型都市開発の手法。

鉄道を、利用したくないものから、
利用した方が便利、または利用したくなるものに変える仕組み。

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アジアの大都市では、交通渋滞が常態化し、長い通勤時間の影響で、仕事がはかどらないばかりか一家団欒の時間もない、という状況が見られます。これは、都市のめざましい発展に伴った急激な労働力の流入に起因しています。また、交通問題は、渋滞ばかりでなく、交通事故や、騒音、排ガスによる深刻な大気汚染も引き起こします。そのため、アジアの各都市は、車中心の社会から公共交通中心の社会への脱却を目指し始めています。

日本の経験を海外に展開する

昨今、100年以上にわたって日本が経験してきた、駅を中心とする都市整備の技術やノウハウを海外展開する動きが活発になってきました。アジア諸国では、不衛生で不便、しかも治安が良くないというイメージを持たれがちな鉄道ですが、このイメージを払拭し、公共交通利用を促進するために、電車に乗ること自体が快適な体験となり、乗り換えることや鉄道駅を降りて駅周辺を移動することさえも新鮮で愉快な行動に思えてくるような環境づくりが求められています。

「駅まち一体開発」とは

その実現には、駅を中心に、まわりのまちの機能を連結させた「駅まち一体開発」の手法が有効です。これは、日本が長年培ってきた、ある種、スペシャリティといえるものであり、アジア諸都市から求められている手法です。

これまで、日建設計は、横浜みなとみらい、東京駅八重洲口駅前開発のような賑わいと楽しさを演出し、新しい価値を創出する「駅まち一体開発」の経験を、重ねてきました。渋谷駅周辺がこれから大きく変わっていくためのお手伝いもしています。駅ビルの設計はもちろん、駅に流入する大量の人を鉄道や周辺の商業施設へと誘導し、人々の活動を豊かに変え、人の流れをつくる提案もしてきました。人の流れという意味では、例えばバリアフリーの実現においても、駅周辺のそれぞれの敷地をうまくつなぐために、所有者間の調整が必要となります。

便利な街をつくるために不可欠な、複雑なマネジメントや調整についても、日建設計は日本国内で多く経験を持っています。このように、意匠や仕上げの選定だけでなく、利用する人の毎日の暮らしに楽しく新しいライフスタイルをもたらす取り組みも含めて「デザイン」であると考えています。

駅を中心に広がる豊かな生活

日本の駅は、もはや電車を乗り降りするだけの場所ではありません。子供を預ける保育所があり、公的機関のサービス出張所があり、銀行や郵便局はもちろん、メディカルクリニックやドラッグストア、食料品マーケットやレストラン、ギャラリーや映画館もあります。これから、アジアの駅とその周辺環境も、短時間で大量の乗客を正確/安全に運ぶ交通システムを構築した上で、日本のように、便利に一体化した「複合的なまち」になっていけば、より多くの人が公共交通を利用するようになるでしょう。そして、豊かな日常をもたらす駅とその周辺環境こそが、ひとりひとりの行動を変え、社会を変え、意識を変えていく装置になるのです。
社会の仕組みを生活者の感覚で、より幸せに変えていくこと、アジアの大都市の家族にふたたび団欒がもたらされること。それを実現していくことが、日建設計のアプローチのひとつです。

  • 田中 亙

    田中 亙

    常務執行役員
    海外事業部門統括
    海外企画開発グループ代表
    海外拠点マネジメントグループ代表

    1988年、東京大学修士課程を経て、日建設計に入社、専門は都市計画・都市デザイン。ハーバード大学よりランドスケープの修士号も取得している。「東京ミッドタウン」(2007)をはじめとして、建築、都市計画、都市デザイン、ランドスケープ設計の知識・経験を総合的に生かすことで、大規模プロジェクトの実現に貢献してきた。2010年以降は活躍の舞台を海外に移し、都市デザインや公共交通指向型都市開発(TOD)、パブリックスペースデザインの分野に力を入れている。日本建築家協会会員、日本都市計画学会会員。

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