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熊本城と庭つづき。オープンスペースがつなぐ、まちの再生と新たな拠点づくり
~サクラマチクマモトが誕生しました!~

 熊本市の熊本交通センター跡地に、日本最大級のバスターミナルの再整備を核として、劇場、商業施設、シネマコンプレックス、ホテル、住宅など、さまざまな機能を包含する大型複合施設「サクラマチクマモト」が誕生しました。
 計画地は熊本城の南に位置し、かつては細川家ゆかりの「陽春庭」があった花畑公園・花畑広場に隣接するエリアです。緩やかなカーブを描き、折り重なるように積み上がったひな壇状の低層部は、市の中心部に新たなランドマークを生み出すとともに、城に向かう歩行者通りや周辺の広場などの公共空間と一体で豊かなパブリックスペースを創出しています。
 これまで中心市街地には、街のシンボルである城をグランドレベルで正面から望むことができるスポットがほとんどなく、市民や観光客のニーズに十分に応えられていませんでした。地上約30メートルに配置された本施設の屋上庭園は、熊本城郭を形成する茶臼山との調和を意識して構成され、城と本施設を視覚的につなぎ合わせることで、歴史的資源を生かした新たな景観軸を形成するとともに、この地を訪れる人々の活動と街がはぐくんできた歴史や文化を結びつける効果を意図しています。なお、この庭園は、陽春庭が有した—借景・水景・築山・舞台—の4要素を引き継ぎ、時代を超えて、緑豊かな市民や観光客のための憩いと潤いの空間として生まれ変わりました。

花畑広場からエントランスを臨む。

手を広げ人を導きいれるエントランス。

一日当たり3万人超が利用するバスターミナルを再整備。

かつてこの地にあった細川家の「陽春庭」。 かつてこの地にあった細川家の「陽春庭」。

ひな壇状のテラスは訪れる人の憩いの空間となっている。

陽春庭と同じ—借景・水景・築山・舞台—の4要素を継承した屋上庭園。

熊本城との位置・高さの関係性 熊本城との位置・高さの関係性。

 施設内の各施設は、いわば街の「メインストリート」ともいえる、自然光が差し込む2階の東西・南北コンコースで結ばれています。加えて、バスターミナルや店舗、熊本城ホールといった主要機能すべてが外周デッキと有機的につながり、建物の内部と外部を自然と行き来することができる回遊性の高い構成となっています。2300席を有する熊本城ホール「メインホール」でのコンサートやイベント終了後、観客の視界には、自然とホワイエの先に広がる屋上庭園の緑と熊本城が飛び込んできます。目の前の景色を楽しみながら、舞台の余韻に浸ることができる仕掛けです。
 劇場の内装は、外観デザインを連続する形で熊本県産の無垢(むく)の杉材を積層。上部に向かって広がる器状の形態とその中に浮かぶように配置された2階席が、演目への没入感とホール内の一体感を強めています。

自然光と緑に包まれた建物深層部の東西・南北コンコース交差点。

熊本城ホール「メインホール」。

「メインホール」のホワイエ。

施設各用途をつなぐ屋上庭園・デッキからは、熊本城が見える。

 今後、本施設が位置する桜町・花畑地区では、2022年までに「歩いて楽しいまちづくり」を目指し、城へと続く前面道路を “シンボルプロムナード”として歩行者空間化、“まちの大広間”となる新たな広場整備が進められる予定です。2016年4月の熊本地震から3年超、この施設が熊本城と共に復興に貢献し、城下町をつなぐにぎわいの中心となることを期待しています。

「桜町花畑地区シンボルプロムナード」完成予想図 「桜町花畑地区シンボルプロムナード」完成予想図

■「サクラマチクマモト」概要

建築名称 サクラマチクマモト(桜町地区第一種市街地再開発事業)
事業主 熊本桜町再開発株式会社
所在地 熊本市中央区桜町3丁目10番ほか
都市計画 日建設計
設計 日建設計・太宏設計事務所共同企業体
施工 大成・吉永・岩永・三津野・新規建設共同企業体
用途 商業施設/ ホテル/ 共同住宅/ 劇場・ホール・集会場・会議室/ バスターミナル/ 映画館/ 保育所/ バンケット/オフィス/ 駐車場
敷地面積 約30,200㎡
延床面積 約164,100㎡
構造 S、RC、SRC造(制振)
階数 地下1階地上:15階建て
工期 2017年1月~19年9月
写真撮影:エスエス/SS

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