PRESS RELEASE

はっと目を引く新たなまちのシンボル「町田駅前交流拠点 はっとまちだ」が誕生
~官民連携で実現、まちと人をつなげる新たな交流拠点~

株式会社町田まちづくり公社(本社:東京都町田市、代表取締役社長:石阪丈一、以下「町田まちづくり公社」)が建築主・運営者を務め、株式会社⽇建設計(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:⼤松敦、以下「⽇建設計」)が建物の設計及び活用方法の検討支援等を担当した「町田駅前交流拠点 はっとまちだ」が2025年3月30日(日)にオープンしました。本施設は町田駅周辺地区都市再生整備計画の一環として、官民連携で長期にわたり検討を重ね実現しました。商店街や芹ヶ谷公園をつなぐ回遊ルートの中継地として、まちの案内機能、商品販売、休憩スペース等を備えた新たなまちのシンボルとしての役割が期待されています。

「はっとまちだ」誕生の背景

町田駅周辺では、1960年代から始まった急激な人口増加を背景に、1970年代から80 年代にかけて国鉄原町田駅の移転とともに実施された大規模再開発、その後の都市計画道路の整備により現在の町田駅前の環境が整備され、大規模商業施設と賑わいあふれる商店街が共存する首都圏有数の商業集積地となるなど、人口増加を前提とした“量の充足”を主軸にしたまちづくりが進められてきました。しかしこれからは「人口減少」「高齢化」といった社会の変化に対応した持続可能なまちづくりが求められています。町田市中心市街地が今後も周辺都市に埋没することなく、多くの人に選ばれ続けるために、これまでのまちづくりで培ってきた資源を維持・活用しながら、さらに多様な魅力を備えた都市へと発展させることが必要です。特に原町田大通りは、左右に伸びる歩行者優先道路の商店街を分断していることに加え、来街者にゆっくりと買い物や食事を楽しんでいただくための憩いの空間が不足していること、周辺資源の一つである芹ヶ谷公園までのアプローチ動線としての空間創出が課題となっていました。

町田駅前交流拠点 はっとまちだ
提供:町田まちづくり公社

そこで、町田市と町田まちづくり公社は、町田市中心市街地まちづくり計画に基づく取組みを協働で進めてきました。そのなかで、町田駅前の目抜き通りである原町田大通り沿いに位置する民間交番の利活用が候補に挙がりました。この場所は、2004年から約20年間、地域住民によってパトロール拠点やまちの案内所として活用され、まちの安心・安全を支える存在として市民に親しまれてきました。2020年から日建設計もプロジェクトに参加し、国が掲げる「2040年、道路の景色が変わる※1」やポストコロナの新しい生活様式を踏まえ、原町田大通りの利活用と民間交番敷地の役割を関係者と共に検討をしてきました。
そして、来街者の憩いの場として賑わいを生み出す活用方法を検討するために、官民協働で実証実験を実施しました。2021年に実施した実証実験では、原町田大通り上に「パークレット」※2を設置し、日常的な使われ方を検証しました。その結果、集客を目的としたイベントは交通の妨げになるなど課題もありましたが、利用者は休憩、飲食、読書などを行っており、普段の道路上では見られないアクティビティの可能性が明らかになりました。さらに2022年に実施した実証実験では、原町田大通りの沿道空間の一角に、民間交番に見立てた小規模なマーケット機能を持つ休憩スペースを設置しました。そこで、日常的な使われ方や情報発信拠点としての機能等の検証に加え、町田市内で個人事業を営む方も交えた議論を行い、事業者同士のマッチングによる互いの相乗効果並びに未来の道路空間の利用における可能性を探りました。
実証実験の結果、通り沿いにあったほうが良い機能として緑(89.2%)、ベンチ(85.4%)、キッチンカー(69.6%)などが挙げられました。また、使われ方の面では植栽や可動式ベンチを採用することで柔軟な空間設計が可能となり、出店者、利用者双方のメリットが生まれることがわかりました。さらに、情報発信拠点として機能するために、人が立ち止まる仕掛けが必須ということがわかりました。以上の実証実験の結果を踏まえ、地域住民や事業者が主体的に関与しやすく、人々のよりどころとなるような「はっとまちだ」を設計しました。

※1 国土交通省「2040年、道路の景色が変わる」https://www.mlit.go.jp/road/vision/pdf/01.pdf
※2 車道の一部を転用した、休憩や飲食ができる「人」のための空間

原町田大通り©IT IMAGING Shota Hiyoshi

「 はっとまちだ」の特徴

「はっとまちだ」は、「歩いて楽しいまち」を実現するため、地域の治安を守るため道路上に配置されていた民間交番を新たな交流の場へと機能拡充した全国的にも先進的な事例です。
はっとまちだは、1つの空間に3つの窓口「information」「takeout」「shop」と1つの広場「spot」を備えています。そして、道行く人々が立ち止まり思わず驚きや興味を感じてくれるような「よりどころ」となることを目指しています。
町田の「今」を体感できる場であり、特徴的な建物のデザインによって町田市民や来街者にとってのシンボルとなることが期待されています。

はっとまちだの機能
「information」:公社スタッフが常駐し、道案内や駅周辺の店舗、イベントに関する情報を提供
「takeout」:市内の飲食店や、市内で創業を希望する個人や事業者がテイクアウト専門で出店し軽飲食を販売
「shop」:市内事業者やクラフト作家の商品を作り手の想いとともに紹介し販売
「spot」:ベンチや植栽を配置し、歩行者が気軽に立ち寄れる空間を整備。地域イベントやワークショップ等の開催が可能。

「はっとまちだ」のコンセプトとデザイン

「はっとまちだ」は、道行く人々が思わず立ち止まり、「はっとする」ような新しい発見や驚きを得ることができる場所です。人々がふらりと立ち寄る「小さなよりどころ」であり、またここでまちの情報を得てまち全体と繋がる「人とまちの接点」でもあります。日常の中で自然に心の安らぎを感じることのできる「小規模なアクティビティを通して人とまちがつながるきっかけとなる場所」を目指してデザインしました。また、道路上で超小型マーケット機能を兼ね備えることによって、まちの中で新たな交流や発見を促進し、近隣の商店・地域の活性化にも貢献する役割もあります。これまでの町田の中心市街地にはないスケール・形状・素材を採用した独創的なデザインによって、視認性が高く、まちの風景の中でひときわ目を引く存在となりました。人々の記憶に残り、SNSなどを通じて自然と拡散されることで、まちの象徴となることが期待されます。デザインの力を通じて、市民がまちへの誇りや愛着を感じるきっかけとなることを目指しました。  
  • ©IT IMAGING Shota Hiyoshi

今後の展開

今後、「はっとまちだ」は、まちと人々を繋ぎ、日常の中で小さな発見や交流を生み出す場所として、まち全体の魅力を引き立てる存在となることを目指しています。
町田まちづくり公社では、はっとまちだが直接的な効果としてランドマークとしての機能を持ち、まちなかのイベント情報や商品・事業者の紹介をすることで商店街や公園へとつながる回遊の中継拠点となると同時に、波及的な効果として、多様な方の来訪や周辺店舗の利用促進、体感治安の向上、個性と魅力あふれる店舗の出店、新たな活動主体の創出等を狙っています。
日建設計は、本プロジェクトを通じて道路空間を人が歩いて楽しい歩道へと転換することで新たなまちの魅力の発見やにぎわいを生み、地域経済にも良い影響をもたらすことを目指しました。今回の取組みで得られた知見を活かし、今後もさまざまな地域でそのまちならではの特性に寄り添いながら、ウォーカブルなまちが広がる支援をしていきたいと考えています。

はっとまちだ概要

住所 町田市原町田6丁目13番14号
面積 建物 22.7㎡(建物裏広場「spot」26.9㎡)
建物構造 木造(一部鉄筋コンクリート)高さ8m、銅葺き屋根
竣工 2025年3月
機能 案内窓口、情報発信窓口、飲食提供窓口、休憩・イベントスペース
開所日時 年中無休(年末年始除く)、11時から18時
建築主・運営者 株式会社町田まちづくり公社(都市再生推進法人)
 

町田まちづくり公社について

町田まちづくり公社は、1999年に町田駅周辺の駐車場不足の解消と商業等の活性化を目指し、町田市や国、地元商業者の出資を受けて設立しました。227台分の自走式駐車場や共同荷捌き場等を有する「ぽっぽ町田ビル」、町田市と区分所有する「プラザ町田ビル」を保有しています。2019年に原町田大通りを中心とした新たな町田の顔を作り出していく事業を推進するため、町田市から都市再生推進法人の指定を受けました。町田駅周辺地区都市再生整備計画(2021年策定)の一環として、JR町田駅前にデジタルサイネージ、原町田大通りにバナーフラッグを設置し、まちの魅力発信を行うエリアマネジメント広告事業を2022年に開始したことに加え、民間交番の利活用を検討した結果、2025年「町田駅前交流拠点 はっとまちだ」を開業しました。

日建設計について

日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東でさまざまなプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。2021年3月には、脱炭素社会への取り組みに向けた「気候非常事態宣言」を宣言しました。

お問い合わせ先

株式会社日建設計 広報室  TEL:03-5226-3030(代表)  E-mail:webmaster@nikken.jp

share

当サイトでは、クッキー(Cookie)を使用しています。このウェブサイトを引き続き使用することにより、お客様はクッキーの使用に同意するものとします。Our policy.