ローコスト ≠ レス
デザインによる新しい価値の創出

建築デザインはモノのカタチを創るだけではなく、価値の変換や新たな体験、新たな選択肢を創る行為です。

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日本の生活者の多くは、物質的にも精神的にも満たされた暮らしをしています。一方最近では「投資による華美な優雅さ」とはまた違った豊かさが求められています。こうした中、建築デザインは、生活者のためにどのようなことができるのでしょうか。

近頃ではハリウッドスターも “ファストファッション”を身につけています。それは、安価だからということではなく、「ライフスタイル」の一つとして、彼らが、自ら選択できる価値観を持っているからだと言われています。

成田国際空港第3ターミナルは、新たに整備された格安航空会社の利用を想定したターミナルビルです。この第3ターミナルも“ファストファッション”のように、生活者に新たな選択肢を提供しています。

ローコストをポジティブにとらえ、「楽しく移動できる体験」をデザイン

日建設計にとってこの第3ターミナルは、建築で創り出せる本当の豊かさとは何かを考えることで、価値観の転換を行ったプロジェクトです。同空港の他の施設の約1/2の坪単価という設計条件でありながら、ローコストをネガティブにとらえず、クリエイティブを生み出すためのポジティブな力ととらえたことが一つの価値の転換です。そして、デザインの力で、投資による華美さや優美さとは違う、ここでしか得られない体験や楽しさという価値を生み出しました。

例えば、陸上競技場用トラックをモチーフに、建物の通路をレーンに色分けすることで、コストをかけず、乗降客のスムーズな移動を叶える提案を行いました。広い第3ターミナルを“フィールド”に、乗降客を“アスリート”に見立てたのです。

思わず走り出したくなるような「ワクワクする気持ち」を喚起するとともに、世界中の多くの人が知っている陸上競技用トラックをサインとして使うことで、言葉が分からなくても迷うことのない「言葉を超えたコミュニケーション」を実現しています。動く歩道を駆使するなど“楽に移動できるためのもの”が従来のレガシーターミナルの豊かさなら、“楽しく移動できる体験”が第3ターミナルの提供する豊かさです。「特徴」を「特長」にすることも、建築デザインの役割の一つです。

空港利用者は「ユーザー」から「プレイヤー」へ

建築デザインは、生活者自身のあり方も変えていきます。これまで空港利用者は「ユーザー」と呼ばれてきましたが、第3ターミナルのように利用者が主体性をもつシーンでは「プレイヤー」と呼ぶことが相応しいと言えます。そしてプレイヤーによって新たな文化が創られます。日建設計は建築デザインを通じ、「新しい選択肢」を提供し、そこから、モノのカタチだけではなく、社会に「新しい価値」を、人々に「新しい体験」を提案していきます。

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