コストマネジメントレポート
2022年1-3月号を掲載しました。
「競争環境が続くも材料価格の上昇が建設コストを押し上げる」
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「コストマネジメントレポート」(季報)は、国内外の経済情勢を概観し、設計事務所トップシェアの実績から得られる豊富なコストデータを活かし、中立的な視点での独自の建設市場分析結果をタイムリーにお伝えしていきます。
※本レポートは情報提供を目的として日建設計エンジニアリング部門コストマネジメントグループが作成しています。記載の内容等は作成時点のものであり、完全性を保証するものではありません。内容等は予告なしに変更する場合があります。本レポートの無断転載を禁じます。
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競争環境が続くも材料価格の上昇が建設コストを押し上げる
受注高・手持ち工事高は堅調に推移
*大手施工会社:大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設の4社。竹中工務店は四半期決算非開示のため対象外。
競争環境は厳しい状況が続く
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図1 大手施工会社4社の受注高・手持ち工事高の推移
資料:各社決算資料より作成
21年度の手持ち工事高は9月時点の数値
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図2 大手施工会社4社の完成工事利益率・工事損失引当金の推移
資料:各社決算資料より作成。 21年度の数値は9月時点の数値。
完成工事利益率=4社平均、工事損失引当金=4社合計
大型工事の増加が競争を生む一因
材料の値上げが拡大し建設コストが上昇に転じる
材料価格が元の水準まで下がる見込みが少ない中、施工者は受注時採算の悪化を覚悟して上昇分のコストを吸収することは困難と思われ、建設物価は上昇に転じると考える。
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図3 東京23区内の1件当たり10万㎡以上の事務所供給量の推移:後方3年の移動平均
資料:森ビル「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」より作成 -
図4 建設用材料の物価指数の推移
資料:日本銀行「企業物価指数 需要段階別・用途別指数」より作成
NSBPIは三地区とも小幅上昇
日建設計標準建築費指数NSBPI
建築、設備とも、施工者は資材価格上昇分を吸収しきれず、提出見積に反映する傾向が強まっている。
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図5 NSBPIの推移
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図6 NSBPIの増減率と建築・設備の寄与度
鋼材価格は上昇が続く木材価格は上昇に一服感
木材価格はウッドショックによる価格上昇が続いていたが、21年8月以降は横ばい状態となっている。
労働者不足感は低い状態で推移
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図7 鋼材価格(普通鋼)の推移
資料:経済調査会「積算資料」より作成 -
図8 木材価格の推移
資料:経済調査会「積算資料」より作成 -
図9 建設技能労働者過不足率の推移
資料:国土交通省「建設労働需給調査(8職種計・全国・季節調整値)」より作成