地震発生!あなたのいるその建物は安全ですか?
即時に建物の被災度を判定するNSmos「日建設計 地震時建物被災度判定システム」

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地震発生直後に被災した建物の安全性を把握できれば、人命を守るための避難指示や、建物の継続使用の判断に役立ち、その後の事業継続に向けた有効な情報となりえます。
日建設計は、2014年に地震後に即時に被災度を判定するNSmos「日建設計 地震時建物被災度判定システム(Nikken Sekkei Structural Monitoring System)」を開発しました。2019年3月時点、新築建物、既存建物を問わず、オフィスを中心に約40棟の建物に導入されています。

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RELATED EXPERTISE

1分でわかるNSmos(VIDEO)

NSmosの仕組み

判定手法
建物内に設置した地震計(加速度センサー)により地震時の建物の揺れを計測。リアルタイムに建物の状況を把握し、即時に被災度を判定(揺れの収束後、2~3分以内)。センサーによる計測値と予め設定した判定値(閾値)を比較することで被災状況を判定します。

判定レポート
判定結果はレポート形式で提供します。レポートでは、被災度をAからEの5ランクで判定し、各ランクにおいて、被災状況、避難の必要性、継続使用の可否などを文章で解説。専門家でなくても建物の被災状況がわかりやすい判定レポートになっています。

NSmosの特徴

① 設計者による適切な判定
正確な判定を実現するためには適切な判定値を設定することが非常に重要です。同じ建物が2つとないように、判定値も建物によって、また、同じ建物でも、階、方向によって異なります。NSmosでは日建設計の構造設計者が各建物の特性を的確に捉え、適切な判定値を設定し、精度の高い判定を実現します。

② 非構造部材も判定
安全性の確認には構造体の被災状況の把握が重要ですが、事業継続性の判断には構造体のみならず、非構造部材の被災状況の把握も必要です。NSmosは、外装材、天井材、設備機器(取付け部)、家具の非構造部材×4項目についても被災度を判定します。

③ 判定精度は実大振動実験で検証
10階建て建物の実大振動実験にてNSmosの判定精度を検証。実大建物の被災状況をNSmosが適切に判定できていることを確認しています。

④ 建物に居なくてもレポートを閲覧可能
クラウドサービス(オプション)により、パソコンやスマートフォンで、判定レポートを閲覧できます。帰宅時、出張時など建物に居なくても、建物の状況を確認できます。

被災した場合にも役立つNSmos

① NSmos+構造解析による詳細な被災状況の把握
NSmosの判定結果は被災度の大きな階は分かりますが、各部材の被災状況までは把握できません。しかし、NSmosと設計時の構造解析を組み合わせれば、建物の構造体の各部材のより詳細な被災状況の把握が可能です。

② 最適な補修計画の立案
地震により被害が生じた場合、調査、補修範囲を決定するのは困難ですが、NSmosがあれば被災度の大きな階が特定できます。また、上述の構造解析と組み合わせにより、さらに詳細な被害箇所の特定が可能です。被災度の大きい箇所に絞った最適な被害調査、および、補修計画の立案が可能となります。

私たち構造設計者は安全な建物を設計するため、日々努力をしています。しかし、自然は侮れません。大地震が起きた時、どのような行動をとるかが重要です。
このシステムはいざという時に、人命を守り、事業をつないでいくためのお役に立つものと信じています。
日建設計は、建物を設計するだけでなく、竣工した後も建物とクライアントをフォローするLCD(ライフサイクルデザイン)の理念を持っています。本システムは、その理念の一環と位置付けています。

  • 原田 公明

    原田 公明

    エンジニアリング部門構造設計グループ
    シニアエキスパート

    1987年、東京都立大学大学院修士課程を経て、日建設計入社し一貫して構造設計を行っている。さいたまスーパーアリーナ、YKK80ビルなど大空間建築から免震・制振構造、など様々な形式の構造設計の経歴を持つ。構造安全性に加えデザインや快適な空間づくりを常に心がけ、2012年JSCA作品賞、2019年日本構造デザイン賞、など様々な賞を受賞している。日建設計東京ビルでは2003年より地震観測を実施しその技術を活かしNSmos開発を手掛けその後の実用化まで、リーダー役を担っている。また大学の非常勤講師、日本構造技術者協会の委員を務めるなど教育及び社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

  • 今枝 裕貴

    今枝 裕貴

    エンジニアリング部門 構造設計グループ
    アソシエイト

    2002年、名古屋工業大学大学院修士課程を経て、日建設計に入社。オフィスビル・学校・病院・官庁施設・特殊研究施設など様々な建物の構造設計を担当。超高層ビル、免震構造の設計も手掛けており、最近ではコープ共済プラザ、上智大学ソフィアタワーなどを担当した。学生時代、入社後を通してモニタリングや振動に関する研究を行ってきた訳ではないが、2015年からNSmosチームのメンバーに参加。EディフェンスにおけるNSmosの実大振動実験では中心的な役割を担い、NSmosの妥当性を検証した。現在は、NSmosチームのサブリーダー的な役割を担っており、社外では建築学会の強震観測小委員会に参加している。構造設計一級建築士。

  • 坂井 悠佑

    坂井 悠佑

    エンジニアリング部門 構造設計グループ
    アソシエイト

    2008年京都大学修士課程を経て、日建設計に入社。建築構造エンジニア。入社以来、オフィス・学校・病院・研究所・官庁施設・駅舎・改修設計など様々な建物の構造設計を担当。自らが設計を担当したプロジェクトでBIMを活用したことを契機に社内外で構造設計BIMを牽引する。2018年には構造BIMのデータ連携を進めることを目的として、日建設計で培った構造設計BIMの集積をSBDT(Structural BIM Design Tool)として公開した。
    入社後習得したプログラミングスキルと構造設計経験を活かし、NSmosをはじめとした構造エンジニアリングツールの開発とBIMマネジメントを行いながら、構造設計の新たな可能性を探っている。構造設計一級建築士。

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