未来への知られざる提案——日建設計のプロフェッショナル・サービス
第1回 日建設計のDXがつくる建築の未来(前篇)
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建築の世界ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)によって今、何が可能となっているのでしょうか。日建設計では、デジタル技術を駆使して、さまざまな挑戦をしています。例えば、複雑な形を実現するジオメトリーエンジニアリング、動的で斬新なファサードの表現、空間データのアーカイブやXR(仮想現実)空間の構築など、あらゆる場面で新しい表現やサービスを生み出しています。
こうした日建設計のDXを支えているのが、設計技術部門テックデザイングループのデジタルデザインラボ(DDL)です。2011年に設立されたDDLは総勢15名で、独自の研究開発を行ったり、他部署と連携して新たな建築表現を生み出したりしています。DDLを率いる角田大輔部長に、日建設計のDX最前線について聞きました。
XR STUDIOで仮想現実を体験しよう——空間体験インターフェースの開発
DDLによる空間体験インターフェース研究の成果として日建設計の東京本社に「XR STUDIO」という場所があります。
XR(Extended Reality)とは、現実と仮想空間を掛け合わせて、リアリティのある空間を体験するための技術の総称で、VRやAR(拡張現実)、MR(複合現実)を包含する概念です。そしてXR STUDIOは、床(4.8m×2.7m)と直交する壁2面(h=2.7m)の計3面に映像を投影し、建築設計のフェーズや目的に合わせた仮想空間を体験する場所となっています。XR STUDIOの活用事例を紹介していきましょう。
設計段階では3Dモデルを原寸大の三面図として投影し、位置や寸法を高い精度で確認します。寸法だけでなく、タイルや木といった素材も原寸で体験できます。つまりこれまでは模型やモックアップで検討していた内容を、XR STUDIOの映像技術を使えばより身体的に捉えて吟味することができ、設計に生かせるようになりました。
XR(Extended Reality)とは、現実と仮想空間を掛け合わせて、リアリティのある空間を体験するための技術の総称で、VRやAR(拡張現実)、MR(複合現実)を包含する概念です。そしてXR STUDIOは、床(4.8m×2.7m)と直交する壁2面(h=2.7m)の計3面に映像を投影し、建築設計のフェーズや目的に合わせた仮想空間を体験する場所となっています。XR STUDIOの活用事例を紹介していきましょう。
設計段階では3Dモデルを原寸大の三面図として投影し、位置や寸法を高い精度で確認します。寸法だけでなく、タイルや木といった素材も原寸で体験できます。つまりこれまでは模型やモックアップで検討していた内容を、XR STUDIOの映像技術を使えばより身体的に捉えて吟味することができ、設計に生かせるようになりました。
🄫日建設計
設計段階だけでなく、XR STUDIOはプレゼンテーション空間としても画期的な役割を担います。完成後のCGを投影すれば仮想現実空間として体験でき、クライアントとのイメージ共有に役立っています。
🄫日建設計
スタジアムやホールの座席数や椅子の感覚を決める時、席数を増やしたいと考えるクライアントも原寸で体験すると『もう少し高くしたい』など、肌感覚で判断ができるようになりました。
3Dモデルの映像を3次元に投影し、スケールを自由に変更できるXR STUDIOで使用しているシステムは、DDLが開発したもので、現在特許申請中です。今後もさまざまなサービスに展開していく予定です。
DDLのミッションは『想像を体験へ 体験から価値を』です。空間をイメージし、それを具体的に体験できるシステムを構築。さらにその体験を空間の価値に変えていくことを目指しています。
3Dモデルの映像を3次元に投影し、スケールを自由に変更できるXR STUDIOで使用しているシステムは、DDLが開発したもので、現在特許申請中です。今後もさまざまなサービスに展開していく予定です。
DDLのミッションは『想像を体験へ 体験から価値を』です。空間をイメージし、それを具体的に体験できるシステムを構築。さらにその体験を空間の価値に変えていくことを目指しています。
複雑な形状を精緻にアウトプットするジオメトリーエンジニアリング
フリーフォームで描いた曲面形状の合理的で経済的な実現を、日建設計はDXのひとつとして実践しています。日本の基本設計にあたる初歩設計を日建設計が担当した中国の「上海AI TOWER」では、この建築全体のデザインモチーフとなっている「風」を表現するため、曲面ガラスで覆った低層部の屋根をいかに原案通りに施工できるかが課題となりました。
ここで登場したのがDDLによるジオメトリーエンジニアリングです。ジオメトリーエンジニアリングとは、複雑な形状を幾何学形状に調整、変換して解くことです。それはデザインから施工まで、スムーズに橋渡しする技術です。
「上海AI TOWER」では、曲面ガラスの形状について、施工しやすいガラスの分割方法をDDLが検討しました。平面矩形だけで成り立ち、かつ、なるべく同じサイズのガラスになるようパネル割を検討していきます。全部で何パターンに分割すればよいかをコンピュータ・シミュレーションで検討。複数のパターンを比較検討できるのが、コンピュータ・シミュレーションを使うメリットです。
最終的には、なめらかな曲面を維持しつつも施工性・経済合理性も満たす39種類のガラスに収斂させていきました。
AI TOWER 🄫yangmin/mintwow
こうしたジオメトリーエンジニアリングは、中国の呉江バスターミナルや重慶TODでも展開し、設計イメージを忠実に具現化することができました。
左: 呉江バスターミナル🄫yangmin/mintwow
右: 重慶TOD 🄫Chongqing Longfor Jingnan Properties Co.,Ltd.