NEWS

熊本の自然を凝縮した水と緑の屋内立体庭園。「熊本駅ビル」がオープンしました。

九州を代表する鉄道ターミナルの一つであるJR九州熊本駅前に、「熊本駅ビル」が竣工し、2021年4月23日、商業施設「アミュプラザくまもと」、ホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO」がオープンしました。熊本地震からの復興のシンボルとなるような、熊本らしさを体現するデザインで、新しいまちづくりが進む熊本駅周辺に新たな賑わいを呼び込みます。

熊本の賑わいの中心から2.5キロほど離れた熊本駅前では、昨今、オフィスや住宅を含めた開発が進んでいます。 熊本駅ビルは、JR九州が目指す「住みたい、働きたい、訪れたい」駅を中心としたまちづくりの中核施設です。1~8階は、小売店舗、飲食、マルチコンプレックス映画館(7階)、結婚式場(8階)からなる「アミュプラザくまもと」、9~12階はホテル「THE BLOSSOM KUMAMOTO」で構成されています。
熊本駅白川口を出ると、熊本市主導のもと「公園のような駅、駅のような公園」をコンセプトに整備された駅前広場が広がり、熊本駅ビルはその右手にあります。

ビルの外観は、用途毎の大きなボリュームや広場に面した屋根群をダイナミックにずらすことで、熊本城の城郭の折り重なった様を表現し、熊本駅駅舎など周辺施設との調和も意識したデザインとしています。
広場に大きく突き出して熊本の強い日差しを遮り来訪者を迎え入れる大屋根は、上部が15m×30mの空中広場「おおやねテラス」となっています。子どもたちがのびのび過ごせるよう、遊具や暑熱を緩和するミストやテントを張れる工夫が施されており、イベント開催も可能な楽しさに満ちた空間です。また、加藤清正公を祀る加藤神社の分祀も建立され、地元の方々に所縁ある場所となりました。
熊本駅ビルでは、空間デザインに自然を取り入れることで、過ごす人の生産性や幸福感を向上させるバイオフィリック・デザインに取り組んでいます。施設の目玉ともいうべきは、地上から7階まで大きく吹き抜けた水と緑の屋内立体庭園「ぼうけんの杜」です。吹き抜けは階段形状により自然光を屋内に導き、シミュレーションを駆使して最適化された生育環境に、日本に自生する数十種類の植物が配置されています。

水の流れは9階ホテル中庭の阿蘇の水源をイメージした水盤を起点としています。3階から地上階へ落ちる幅10m、高さ10mの滝は南小国の「鍋が滝」をイメージしており、裏見も可能です。建物全体に流れる水と緑の縦の積層は、阿蘇から有明海に至る熊本の雄大な自然を表現するとともに、駅前広場との連続性を生む立体的パブリックスペースにもなっています。

屋内の大規模な立体庭園は、国内外問わず事例が少なかったこともあり、音環境、光環境、ランドスケープ、温湿度環境、デジタルシミュレーションなど、日建設計内の多様な専門家を集めたスペシャルチームを編成しました。熊本らしいデザインと多様なエンジニアリングで実現した、水と緑の立体庭園。そこで生まれるアクティビティが、駅前広場に滲み出し、新しく生まれ変わった熊本駅前周辺に賑わいの風景を創り出すことを願っています。

所在地 熊本県熊本市
主要用途 物販店舗、飲食店舗、ホテル、映画館、結婚式場、駐車場
建築主 九州旅客鉄道株式会社、株式会社JR熊本シティ
開業 2021年4月23日
敷地面積 19,945.97㎡
建築面積 13,869.09㎡
延床面積 86,292.46㎡
構造・規模 S.RC造、地下1階、地上12階
最高高さ 55.561m
施工 大林組
照明デザイナー シリウスライティングオフィス
サイン計画 日本デザインセンター 色部デザイン研究所
     
撮影 SS

設計者コメント

羽月 喜通

熊本はここ数年、甚大な自然災害に見舞われています。熊本県人吉市で育った私も自然の猛威を目の当たりにした一人です。大きな試練の中で進行したこのプロジェクトは、私にとっても思い入れの強いものとなりました。生活に密接に関係する複合施設が熊本の大自然を表現した「水と緑の立体庭園」を内包する駅ビルが、熊本の陸の玄関口に完成したことは、大きな意義があると思っています。復興のシンボルになるだけでなく、訪れる方々に自然との共生を新たな形で捉えてもらえるような施設になることを期待しています。

朴 玄淳

「駅ビルを設計したくても担当できる設計者は一握り。思いっきりやったらいいよ」6年前、プロポーザル当選を報告したJR九州M課長の一言を思い出します。熊本駅ビルは買い物、デート、映画鑑賞、結婚式場、ホテルと多くの思い出を生む場です。それらを演出するために計画段階から工事期間中に携わった人数は約7000人に上ります。1F東側イートインスペースに従事者銘板が飾られていますので、ご来館の際は是非足を運んでみてください。このプロジェクトを通して知り合えた関係者は私にとって宝です。

小松 良朗

「水と緑の立体庭園」を有する熊本駅ビル構想を初めて目にしたとき、わくわくしたことを今でも鮮明に覚えています。クライアントの想いを実現するべく、熊本に何度も足を運び、阿蘇から有明海につながる地形構造と水の流れが生み出す風景こそが「水の国」熊本らしい風景と捉え、ランドスケープデザインを行いました。森林浴のように豊かな時間を過ごせるBiophilic Design空間が多くの人々に幸せを運ぶ存在になることを期待しています。

岩田 友紀

建物の中に滝が流れ、植物が生育するというのは日建設計にとっても大きな挑戦でした。水と緑を建物の中に取り込み循環・生育させるための技術的な裏付けと、より自然を感じられるように配置するシミュレーション等、先進的な取り組みを多く採用しています。 来訪者の方はもちろん、植物達にもこの場所を気に入ってもらい、すくすくと成長してもらえるような建物となっています。自然が近くにあることの心地よさを改めて感じ取っていただけると幸いです。

share

当サイトでは、クッキー(Cookie)を使用しています。このウェブサイトを引き続き使用することにより、お客様はクッキーの使用に同意するものとします。Our policy.