光と空間にこだわった最適な光環境の創造
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建築空間において「光環境」は空間の快適性や印象を左右し、消費エネルギーにも影響する大切な要素です。
私たちは、面を照らす物理的な光の量を表す照度だけではなく、実際に感じる空間的な明るさである「明るさ感」を重視した光環境の計画を行っています。
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明るさ感を考慮した光環境計画
空間を構成するひとつひとつのものから目に入ってくる光の量はそれぞれ違い、その対比によっても明るさの感じ方は違います。つまり、自然光を取り入れる窓や、照明だけでなく、壁や床、天井の形状や素材など、目に入る空間を構成するものすべてが光環境を形成しているのです。そのため、空間を明るくしようと思ってむやみに採光量や照明の数を増やしても、対比や反射率の影響で明るさ感の向上につながらないこともあります。
明るさ感を計画する際には、人の目に入る光の量と対比の影響について検討が必要となります。
また、明るさ感を考慮した光環境計画では明るさ感の高い空間だけでなく、デザイン的に明るさの対比を持たせるような空間や、暗さと明るさのバランスを計画することも可能です。
その空間にいる人の目線に立ち、空間を構成する要素全体を考えて適切な明るさ感を検討することで、最も省エネルギーで最も快適な光環境を計画します。
照度と輝度
光環境計画を考える上で重要なことは、面を照らす光の量(照度)だけではなく、人の目に入ってくる光の量(輝度)を考えることです。
照度設計から明るさ感による光環境計画へ
空間において人の感じる明るさは目に入る光の量と対比により影響されます。壁、床、天井、視野内に入る空間を構成するすべての要素が光環境を創造します。従来の照度の軸に明るさ感の軸をプラスすることで、光環境の表現力が広がります。
明るさ感による光環境計画—電算新本社ビルの実例—
明るさ感を効果的に向上させるアンビエント照明
本プロジェクトでは効率的に目に入る光の量を増やすことで、エネルギーを抑えつつ高い明るさ感を確保する計画を行っています。シンプルにその方法を考えたとき、従来の水平に照明を配置する既成概念から脱却し、鉛直面に適度な輝度面を配置する計画に至りました。
消費エネルギーは従来の1/3以下の4.7W/㎡以下、日中は昼光利用を行うことで、日平均4W/㎡以下で運用し、十分な省エネを達成しています。
※タスクアンドアンビエント照明方式とは
机上を照らす「タスク照明」と安全性と空間の明るさ感を確保するために周辺を照らす「アンビエント照明」の2つに分けて計画する照明手法。
機能を分担し、アンビエント照明は照度を抑えて効果的に明るさ感を高める計画をすることで、省エネルギーな計画を実現可能。
明るさ感による昼光利用制御
窓が明るすぎて室内がかえって暗く感じたことはありませんか?
それは対比の影響によるものです。昼光の過取得は光環境において好ましいことではありません。従来のブラインド制御では直射を遮蔽することを制御のよりどころとしていましたが、明るさ感による計画では、過取得を防ぎ、適度な昼光量を確保する制御を行います。
一般的なオフィス照明
電算新本社ビルアンビエント照明
天井に平行に照明器具を設置する一般的なオフィス照明は反射光で明るさ感をとっていたのに対して、本プロジェクトでは、鉛直面に発光面をつくり直接目に光を入れることで効率的に明るさ感をアップしています。
電算新本社ビルで開発した照明器具の概要
発熱源であるLEDを天井裏へ設置することで、室内への発熱を防いでいます。
導光板の仕組み
LEDの直進性を活かした両面発光導光板の技術を採用し、シルキースクリーンライトを開発しました。透け感をもちつつ光る素材は意匠的にも心地よい空間を創造しています。
旧本社と新本社の明るさ感画像比較
旧本社は照明と天井の対比が大きく、天井面の明るさ感が低いのに対し、新本社では、天井面を含め空間全体に光が回り、十分な明るさ感が確保できていることが分かります。また、旧本社は昼光の過取得との対比で明るさ感が低下しています。
消費エネルギーは従来照明の1/3以下の4.7W/㎡、日平均では4W/㎡以下の省エネルギーを達成しています。
本プロジェクトで実施した明るさ感画像によるシミュレーション