Safety & Security
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命や財産を守るために考え続ける
かつて人間は厳しい自然環境から身を守るため住居を構えるようになった。安全、安心は建築物に求められる最も根源的なテーマである。安心とは、「危険な目には遭わないと思える状態」と要約できるが、人間の発展とともにさまざまな危険が予見できるようになったため不安が増大し、安心を得るのが難しくなっている。地球温暖化の影響か、自然災害の規模は徐々に大きくなっていき、犯罪による人的災害については際限がない。常に新たな危険を予想し、許容できるまでリスクをコントロールする知識と技術が必要となってくる。
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自然災害や犯罪に備え、安心を積み上げる取り組み
リスク分散とは逆ベクトルとなるが、日常的な合理性を求め、800万にも及ぶ就業人口となった東京で、もし大規模災害が発生した場合、交通や物流の停滞やインフラの破損に伴い、建物内に多くの人が滞留し、状況によっては業務の一部を継続することが求められるようになっている。 少し前まではインフラの途絶などに3日間の備えをすれば安心と言われたが、今では一部の公共団体では安心のため7日間の備えを推奨する状況に進んできている。大規模災害により、一部の都市機能への支障が長期間にわたり生じても、日常生活に速やかに戻れるよう、建物や街区を維持できる計画がますます求められる状況となっている。
電気設備における災害リスク評価の例
ある機器に障害が発生した際、建物に与える影響の程度と障害が生じる頻度を掛け合わせることで、簡易なリスク分析が可能となる。
故障によるダメージの大きい変電設備は、地震対策として床に固定されている。しかし構成部品である変圧器は重量が大きく内部で自立しているため、地震の揺れにより破損や接続部の断裂が生じることがあり耐震補強だけではリスクが防げないことがわかった。
電力会社の配電線を利用した非常電源の他ビルへの融通(プレミアムグリッド®サービス注)
特定のエリア内の複数の建物に対して電力会社が予備の電力線を新たに敷設する。災害等による停電時においては、電力会社の送配電網から切り離して独立したネットワークを構築することで、エリア内に設置した非常用発電機の電力を各建物に融通し、エリア内のBCP対策の強化、防災機能強化に貢献する。日建設計がこの必要性をリードし、設計面でもバックアップすることにより実現に至っている
注)プレミアムグリッド®とは、東京電力ホールディングスの登録商標(5908846号)であり、電力供給システム及び電力供給方法について東京電力ホールディングスで特許取得(特許第6520773号)している
人的災害から大切な情報を守る
人的災害に対応するには、人が見張ることが不可欠であり、重要施設では人の出入りを大幅に制限することでこれを実現している。大規模な本社ビルなどでは、社員以外の来客も含め多人数が出入りし、設備的な補助手段で見張りを効率化している。セキュリティゲートの設置や、監視カメラの設置台数の増加、動体検知による不審者の早期発見など不特定多数が多く出入りする建物ほど導入が進んでいる。
現在でもAIによる画像分析による不審行動の発見、beaconによる在館者追跡など新たな取り組みは始まっているが、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスなどの技術開発に応じ、在館者の行動を把握する多様なソリューションが建築設備よりも速いスピードで生まれていくと予想される。しかし、悪意をもたない人にとって監視、追跡されることは負担にしかならない。これらの普及のためには同じ仕組みを用いて、すべての人が日常的に建物施設を便利に利用できるサービスの提供も同時に求められることになる。このため、今後は建物の利用状況をよく知る建築設計者、建物運営者の知見とICTエンジニアの技術のコラボレーションが活性化することが期待されている。
全自動!? 避難安全検証
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FDSによる煙・温度分布
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Path Finderによる避難流動分布
煙温度と避難流動分布を重ねたコンター図
感染制御をデザインする
感染制御の基礎知識
設計フェーズごとのポイント
環境配慮とBCPを併活用する
環境配慮×BCPのマトリクス 空気調和・衛生工学会 環境配慮・防災併活用設備システム計画小委員会 報告書より
発電機の同期運転で高いBCP性能を確保する
発電機の同期運転の計画例
災害時の排水計画のポイントをつかむ
災害時の排水計画のポイント
結露・カビの発生を抑制する
冬型結露マップ