コストマネジメントレポート
2023年7-9月号を掲載しました。
「埋まらない需給ギャップ 建築・設備ともに施工会社の手持ち工事高が高水準」
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「コストマネジメントレポート」(季報)は、国内外の経済情勢を概観し、設計事務所トップシェアの実績から得られる豊富なコストデータを活かし、中立的な視点での独自の建設市場分析結果をタイムリーにお伝えしていきます。
※本レポートは情報提供を目的として日建設計 設計監理部門コストマネジメントグループが作成しています。記載の内容等は作成時点のものであり、完全性を保証するものではありません。内容等は予告なしに変更する場合があります。本レポートの無断転載を禁じます。
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埋まらない需給ギャップ
建築・設備ともに施工会社の手持ち工事高が高水準
建築の手持ち工事高は今年度も高水準で推移
超大型案件の競争受注により利益率は低水準
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図1 大手施工会社の手持ち工事高・受注高の推移
各社決算資料より作成
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図2 大手施工会社の完成工事利益率・工事損失引当金の推移
各社決算資料より作成
設備は手持ち工事高調整のため受注量を抑制
時間外労働上限規制対応が広がる
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図3 設備施工会社の手持ち工事高・受注高の推移
各社決算資料より作成
機械=5社合計、電気=5社合計 -
図4 時間外労働上限規制対応と共通費算定式改定による工事費の影響
日建設計資料より作成。延べ床面積15,000m2程度のオフィスビルを想定。
共通費=共通仮設費+現場管理費+一般管理費
首都圏の上昇勢い緩まず、他地区との勢いに差
日建設計標準建築費指数NSBPI*5
建築工事は生コンクリート、ガラスなど各種資材価格の上昇や、仮設、鉄骨、仕上工事などの価格転嫁による上昇が続いている。設備工事は各種機器の定価改定に加え、需給ギャップによる労務費や専門工事価格の上昇が継続しており、工事費全体の上昇を牽引している(図6)。
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図5 NSBPIの推移
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図6 NSBPIの増減率と建築・設備の寄与度
各資材の価格指数は上昇続く
大阪の生コン価格が大幅値上げ
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図7 建築資材の企業物価指数の推移
日本銀行「企業物価指数」より作成 -
図8 生コン価格の推移
経済調査会「積算資料」より作成
*2:朝日工業社、三機工業、大気社、ダイダン、高砂熱学工業の5社。
*3:関電工、九電工、きんでん、トーエネック、ユアテックの5社。
*4:公共工事の予定価格算出時における共通仮設工事費、現場管理費、一般管理費を算出するための計算式。
*5:日建設計標準建築費指数 NSBPI:
日建設計が独自に算出している建設物価の値動きを示す指数。標準賃貸オフィスを数量モデルとして、
独自調査により把握した実勢価格を随時反映させた工事価格を算出し指数化したもの。
第1四半期は1~3月、第2四半期は4~6月、第3四半期は7~9月、第4四半期は10~12月を示す。
*6:日本板硝子、AGC、セントラル硝子の3社。