コストマネジメントレポート

2026年1-3月号を掲載しました。
「建設物価の上昇、収束に向かう」

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「コストマネジメントレポート」(季報)は、国内外の経済情勢を概観し、設計事務所トップシェアの実績から得られる豊富なコストデータを活かし、中立的な視点での独自の建設市場分析結果をタイムリーにお伝えしていきます。

※本レポートは情報提供を目的として日建設計 設計技術部門コストマネジメントグループが作成しています。記載の内容等は作成時点のものであり、完全性を保証するものではありません。内容等は予告なしに変更する場合があります。本レポートの無断転載を禁じます。

建設物価の上昇、収束に向かう

25年の建設物価上昇率は前年の半分に

2022年以降、建設物価は年間16~20%の上昇が続いたが、25年の上昇率は8%、直近四半期では年率5%となり騰勢は収束に向かっている(図1)。足元では設備の寄与度が大きいが、建築と設備の動きにタイムラグがあり、先行して上昇率が減少した建築に続き、設備も収束に向かうと考えられる。

設備工事の上昇要因は労務費から材料・専門工事に

工事別の上昇要因をみると、建築は直近四半期では鋼材が下落に転じるなど上昇圧力が弱まっている。設備は労務費上昇の勢いに一服感があるものの、電気は材料、空調・衛生は専門工事の上昇圧力が依然として高い(図2)。
  • 図1 NSBPI*1の年間上昇率の推移 図1 NSBPI*1の年間上昇率の推移
    日建設計作成。

  • 図2 工事別NSBPIの年間上昇率と寄与度の推移 図2 工事別NSBPIの年間上昇率と寄与度の推移
    日建設計作成。空調の材料にはダクト工費を含む。

完成工事利益率の通期予想が上方修正

ゼネコン大手4社*2の完成工事利益率の改善が進む。25年度の業績予想は当初の平均9%から、直近の第2四半期決算時には平均11%に上方修正された(図3)。今後は、案件の延期・中止等の受注環境の変化を踏まえると受注時採算のさらなる向上は難しいといったコメントが複数社でみられ、完成工事利益率の上昇は緩やかになると考えられる。

NSBPIと企業・消費者物価指数の乖離が縮小

NSBPIと企業・消費者物価指数の前年同期比について乖離が縮小(図4)。今後、NSBPIは企業・消費者物価指数に近づいていくと思われるが、建設業の担い手確保に向けた賃金アップ等による労務費上昇分を加味した水準に収束していく可能性がある。
  • 図3 ⼤⼿ゼネコン4社の平均完成⼯事利益率の推移 図3 ⼤⼿ゼネコン4社の平均完成⼯事利益率の推移
    各社決算資料より作成。

  • 図4 NSBPIと物価指数(企業・消費者)の前年同期比の推移 図4 NSBPIと物価指数(企業・消費者)の前年同期比の推移
    日建設計、⽇本銀⾏「企業物価指数」、総務省統計局「消費者物価指数」、⽇本経済研究センター「短期経済予測」より作成。予測は日本経済研究センターより。

前期比上昇率は1%程度に鈍化

日建設計標準建築費指数NSBPI*1

建築工事・設備工事ともに上昇率は鈍化した(図5・6)。
建築工事は一部の工種で上昇が見られたが、鉄筋・鉄骨工事の価格下落により、上昇の勢いは前期比で弱まっている。設備工事は一部の専門工事や設備機器で価格改定による上昇が見られたが、労務費や経費率は前期比で横ばいとなり、上昇圧力は前期に比べ弱まっている。
  • 図5 NSBPIの推移 図5 NSBPIの推移

  • 図6 NSBPIの増減率と建築・設備の寄与度 図6 NSBPIの増減率と建築・設備の寄与度

大阪は今年、東京は来年に生コン価格が追加値上げ

足元の生コン価格は横ばいで推移(図7)。一方で、23年半ば以降、横ばいが続いていた大阪では、大阪広域生コンクリート協同組合が26年4月よりコンクリート価格*3を8,500円引き上げて34,000円/㎥にすると表明。東京地区は26年度は価格を据え置くも27年4月から3,000円引き上げて28,000円/㎥にすると表明しており、引き続き価格上昇に留意が必要。

労務不足感は高止まり

建設業の雇用人員判断DIは、25年6月をピークに僅かに減少するも、依然として人手不足感の強い他業種よりも高い水準で推移(図8)。人手不足の解消に向けて、生産性向上とともに、賃金を含めた労働環境改善の取り組みが今後も進んでいくと考えられる。
  • 図7 生コン価格の推移 図7 生コン価格の推移
    経済調査会「積算資料」より作成。

  • 図8 雇用人員判断DI(大企業)の推移 図8 雇用人員判断DI(大企業)の推移
    日本銀行「全国企業短期経済観測調査」より作成。

*1:日建設計標準建築費指数 NSBPI:
日建設計が独自に算出している建設物価の値動きを示す指数。標準賃貸オフィスを数量モデルとして、
独自調査により把握した実勢価格を随時反映させた工事価格を算出し指数化したもの。
第1四半期は1~3月、第2四半期は4~6月、第3四半期は7~9月、第4四半期は10~12月を示す。
*2:大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設の4社。
*3:呼び強度18の普通コンクリートの価格。

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