WELLNESS
次世代のキーワード“WELLNESS”で オフィスをデザインする
Scroll Down
オフィステナントの意識調査によると、室内環境を重視するテナントが73%に達している。人材の不足をリスクと考えるテナント67%の裏返しと考えられる。これまでは、高品質で均質なオフィスを少ないエネルギーで実現することをめざしてきたが、変化するワークスタイルに適応して、オフィスワーカーが健康で高い知的生産性をもって執務できるオフィスが求められている。そうした背景から、国内外で「WELL評価・認証制度」が開発されている。WELLNESSの視点で重要な室内環境は、多様な環境を提供できるように放射・空気質・湿度・色など数多くのファクターを統合的にデザインする時代に転換しつつある。
WELLNESSで空間設計が変わる
オフィスの光熱水費を1とすれば、賃料は10、ワーカーの給与は100という試算がある。このことは、ワーカーの健康に配慮したオフィスの価値が高いことを意味している。また、室内環境のデザインが知的生産性に大きく影響を与えることが明らかになっている。こうした背景から、「建築に居住する人々にとって快適で健康なオフィス」を評価する「WELL評価・認証制度」が開発されている。その評価項目は、空気/Air・水/Water・栄養/Nourishment・光/Light・フィットネス/Fitness・快適性/Comfort・心/Mindの7つである。これまでの建築物の評価指標に比べて、経営理念やワーカーの多様な行動に重点が置かれている。
WELLNESS なデザインにおいては、ワークスタイルの変化とともに、人間の生理を深く理解することが重要である。最新のオフィスでは、Caféがワークスペースとして利用され、仮眠を取ってリフレッシュするNapping Roomが設置されている。このような多様な空間ごとの最適な室内環境を人間生理に基づいて提案しなければならない。そのためには、これまでの空気温度と照度に重点を置いたデザインに加えて、湿度・放射・色・におい、などの環境コントロールが必要になってくる。例えば、放射冷房を採用した病室では、エアコンのドラフトによる就寝時に生じる無駄な体の動きが、ほとんど生じていないことが実測で確認されている。
WELLNESS なデザインにおいては、ワークスタイルの変化とともに、人間の生理を深く理解することが重要である。最新のオフィスでは、Caféがワークスペースとして利用され、仮眠を取ってリフレッシュするNapping Roomが設置されている。このような多様な空間ごとの最適な室内環境を人間生理に基づいて提案しなければならない。そのためには、これまでの空気温度と照度に重点を置いたデザインに加えて、湿度・放射・色・におい、などの環境コントロールが必要になってくる。例えば、放射冷房を採用した病室では、エアコンのドラフトによる就寝時に生じる無駄な体の動きが、ほとんど生じていないことが実測で確認されている。
WELLNESSのキーワードとなる放射冷暖房
WELLNESSの視点では、人体への熱的な負荷が小さいことが大切である。放射冷房は人体を取り囲む天井・壁・床の表面温度をコントロールする。そうすることにより、人体への熱的負荷の少ない優れた温熱環境を形成することができる。空気温度よりMRT(平均放射温度)が2℃低い温熱環境下の人体エクセルギーが最も小さい(=人体への負荷が少ない)とした研究事例も発表されている。
一方で、温熱環境が静穏すぎると、時になんとなく暑いというストレスを指摘されることがある。そこで、わずかな微気流をコントロールすることで涼感を提供して、よりストレスの少ない放射冷房を採用した事例がある。
一方で、温熱環境が静穏すぎると、時になんとなく暑いというストレスを指摘されることがある。そこで、わずかな微気流をコントロールすることで涼感を提供して、よりストレスの少ない放射冷房を採用した事例がある。
コンクリート躯体を夜間に冷却して、昼間はその冷放熱で室内負荷を処理するTABS(Thermal Active Building System)が提案されている。TABSは躯体の熱容量を利用するため、熱源の容量が低減でき、ディマンドレスポンスのツールとしても利用が可能である。そして、コンクリート躯体の大きな面積を放射面として利用できるので、ローコストで放射冷房システムを構築することができる。
通常の空調は7℃程度の冷水を必要とするが、放射冷房は17℃程度の冷水で機能させることが可能である。夏でも冷たい井戸水は放射冷房との相性がよく、放射パネルに井戸水を循環させることで、自然エネルギーによる冷房が可能となる。高品質な室内環境が、自然のポテンシャルを生かしたシステムによって実現されていることは、居住者にとっても気持ちがよいものである。
パーソナル加湿は30㎝なら有効
小型加湿器を使って、オフィス空間でどれだけ局所的な加湿ができるか?これまで熱と気流をコントロールしてきたパーソナル空調に、湿度コントロール機能を加え、湿度に対する嗜好の個人差に対応できる新パーソナル空調を提案。(野口尚子)
>画像を拡大する
>野口尚子
>画像を拡大する
>野口尚子
室内緑化で空気に潤い
時差BIZで5%の改善
持ち運びのできるRADIATION SCREEN
低湿度で何が起こるか
落ち着く色・活気のある色とは
「落ち着き」や「活気」を感じる色はどれかを実験で確認した。例えば、オレンジ色・紫色で「落ち着く」の申告が多かった。小型で高い制御性を持つLEDの普及により、人の生理・心理を考慮した付加価値を持つ光環境の実現が可能となってきている。(綿貫 將)
>画像を拡大する
>綿貫 將
>画像を拡大する
>綿貫 將
究極のパーソナルウェアラブル冷暖房
目が疲れにくいモニター輝度
モニターの明るさを環境の照度に応じて適切に調整することで、目への負担を軽減することが可能。実験では、 例えば照度360lxの環境ではモニターの出力を30~40%程度に設定した時に紙資料とモニターの輝度の差が最も小さくなった。(田村博史)
>画像を拡大する
>田村博史
>画像を拡大する
>田村博史
においで換気をコントロール
指先でリラックスを測る
オフィス家具で疲労する
このIdeasは、設備設計グループに所属する約200人のメンバーひとりひとりが、毎年1年をかけてアイデアを提案する活動「ID200」の中から生まれたものです。