ZEB Zero Energy Building
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ZWB Zero Water Building

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私たちが考えるZEBの姿
環境建築のあるべき姿として定着したZero Energy Building(ZEB)は、いまや自然との融合や健康な生活環境の実現が重要なテーマとなりつつある。一方で、SDGsの目標の一つに ”安全な水とトイレを世界中に” 広げることが掲げられ、水資源の有効利用とともに、Zero Water Building(ZWB)への関心が高まっている。エンジニアを組織の中に持つ日建設計は、創業時より意匠との価値共有の上に、省エネルギーかつ魅力ある”環境建築”を創り出してきた。そこに通底するのは、技術至上主義に走らず、一方で流行の意匠を盲信することなく、使い手が健康で快適に過ごせる建築環境を最も効率よく提供していく姿勢であるといえる。この“建築環境”こそが、私たちの考えるZEB・ZWBの姿でもある。

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ZEBからBiophilic Designへ

環境建築タイムライン

原単位減少化が進む一次エネルギー消費量

冒頭の環境建築タイムラインが示すように、近年の空気調和・衛生工学会賞受賞プロジェクトのエネルギー消費トレンドを見ると、この20年間でオフィスは2,000MJ/㎡年から1,000MJ/㎡年にターゲットが漸減しながら推移してきたことがわかる。
日本をはじめ米国、英国などで、2020年~2030年に野心的なZEB実現目標が掲げられている状況であるが、私たちは更なる省エネルギー推進とともに、いかに再生可能エネルギーを取り入れるかが今後の課題となるであろう。
ZEBは決して技術と原理に頼って先鋭化するものではなく、住まい手が健康で快適に豊かに生活する建築環境を提供することこそが求められるであろう。環境建築は、Active、Passive、両手法を駆使して多様な展開を見せているが、いずれも光や風、緑、蒸発や遮蔽という自然の原理を巧みに活用していることが示唆される。 上の図に例示するように、日射熱を遮蔽しながら自然の光を取り入れるための、外部ブラインドやバイオスキン、美しい光を導くガラス管ルーバ—があり、さらに緑化を外壁と高度にインテグレートしたファサードや、建物内でミツバチを養い、自然界の曲線を配したらせん階段によるエコシリンダーは、建築環境の中に自然環境が巧みに取り入れられたデザインとなっている。ZEBはまさに、生命や自然との融合を重視するBiophilic Designに基づくスタイルに変容していこうとしている。

SDGsで重要なZWB(Zero Water Building)

国連による世界共通の持続可能な開発目標であるSDGsは、経済・社会・環境の統合を掲げ、日本でも広く浸透している。衛生的で安全な生活をめざして、SDGsの17の目標の一つに ”安全な水とトイレを世界中に” 広げることが掲げられていて、水資源の有効活用は今や世界的な潮流となっている。すなわち、節水や、水のリサイクルといった建物単体の取り組みだけでなく、敷地を越えた水循環として、雨水の地面への浸透還元などが重要となる。
世界では、水の価値が高い渇水地域を中心に水資源の有効活用が多様な展開を見せている。ここに例示するのは、散水により気化冷却した水を貯留し室内の放射冷房に使うオフィスビルや、下水管渠を鉱脈と捉え貴重な水資源として建物に取り入れて再生水利用を図るSewer Miningといった先進的な水活用事例である。
ここで、ZEBとZWBは、省エネと節水の相乗効果という面に限らず、環境建築を構成する複合的な要素として、自然との融合や健康な生活環境の実現に資するものである。

ゼロ・ウオータービルの水バランス ゼロ・ウオータービルの水バランス
上水インフラに頼らないゼロ・ウオータービルの水バランスを試算した。最近の節水機器での水消費量のデータを用い、空調加湿やドレンの再利用、井戸水や雨水を利用し、排水再利用システムと組み合わせることで、実現性を模索した

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外装デザインから考えるスマートなZEB

ZEBの計画プロセス

 スマートにZEBを実現するためには創エネルギーを増やすことだけを考えるのではなく、まずは外装デザインによる負荷コントロール、パッシブデザイン、高効率設備機器の採用など建物トータルでの省エネルギーを検討している。(胡 畔)
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>胡 畔

明るさ感を保った超省エネ照明

明るく快適なオフィス

 高効率LED照明にレンズを用いた配光制御を組み合わせ、天井面を効率的に照射することにより、一般的な照明(750lx設定)よりも低照度(400lx設定)でありながら明るく感じられる省エネルギーと快適性を両立する空間を考案し具現化した。(小川禄仙)
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>小川禄仙

人に優しい省エネ放射空調

 超低速吹出による上から下への層流と天井全面のパンチングパネルからの放射により、冷房時のドラフトや足元の冷えを解消した。放射効果により室温が28℃であっても一般空調での26℃設定同等に快適で省エネ効果の高い空調方式である。(後藤 悠、水出喜太郎)
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>後藤 悠
>水出喜太郎

事例から自然換気の設計を容易にする

自然換気チャート

 自然換気による熱負荷低減はZEB実現において欠かせない技術だが、その効果の検証は容易ではない。計画の初期段階において、開口高低差や開口面積から簡易的に効果が確認でき、パッシブデザインを検討するツールである「自然換気チャート」を考案した。(田辺慎吾、大森啓充)
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>田辺慎吾
>大森啓充

ドライミストで外気を冷やす

 自然換気口でドライミスト噴霧することで、外気の冷却効果がどの程度あるかを検証した。外気が3℃下がり、自然換気を行う時間が3割、自然換気による熱除去が7割増加すると試算した。(津村勇次)
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>津村勇次

急速に進む中国の省エネ政策を知る

 中国は、2030年までにGDP当たりのCO2排出量を2005年比当たり60-65%削減する目標を掲げている。政府主導の省エネ政策を推進し、先進的な取り組みや成功事例を導入することで、省エネや低炭素化を図っているので、政策を踏まえた提案をする必要がある。(胡 畔)
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>胡 畔

各国の水事情を考慮したZWB提案

世界の中の日本の水資源量と生活用水消費量の関係

 各国の水資源量や生活用水消費量は異なる。日本は水資源量に比べ、人口1人当たりの生活用水消費量が多い国である。節水技術は進んでいるが、水を循環させて使う慣習となっていないのかもしれない。ZWBをめざすには、各国の水事情も考慮した検討が必要と考える。(長谷川 巌)
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>長谷川 巌

ZEBを支えるエナジーハーベスト技術

 配線不要なエナジーハーベスト・デバイスを活用することで、設備運用に自由度のある設計ができる。ワイヤレス通信で、センサをいつでも適正な位置へ配置変更し、竣工後の環境情報や環境適正化制御に活用する。ZEBを実現する運用技術の一つとして検討した。(上野大輔)
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>上野大輔

このIdeasは、設備設計グループに所属する約200人のメンバーひとりひとりが、毎年1年をかけてアイデアを提案する活動「ID200」の中から生まれたものです。

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