INTERVIEW
#32
チームメンバーを牽引する
子煩悩なランドスケープアーキテクト
倉本 明典
AKINORI KURAMOTO
都市・社会基盤部門 都市デザイングループ2016年 キャリア採用入社
園芸学研究科 環境造園学専攻 修了
私が日建設計を選んだ理由
前職では、ランドスケープ設計事務所にて約3年在籍し、設計・デザイン業務に従事しました。日建設計への転職は、大学の先輩に誘われたことがきっかけです。社内に建築や都市基盤・都市デザイン、デジタルデザインなど川上から川下までの様々な専門チームが多数存在し、スケールの大きな仕事を分野横断的に取り組めることに魅力を感じました。自身の可能性を広げていきたいという思いも重なり、入社を決めました。
人と自然の結びつきが豊かになる
土地・場所のストーリーを紡ぎ出す
ランドスケープアーキテクトにとって重要なことは、その土地・場所を徹底してリサーチすることであり、十分に理解した上で、人と自然の結びつきが豊かになる土地・場所のストーリーを紡ぎ出すことだと思っています。そうしたポリシーで、近年は都心部の公園改修や大学キャンパスの再編、大規模複合再開発プロジェクトを通じて建築と周辺環境を一体的に捉えたパブリックスペースの創出に数多く携わってきました。一人のランドスケープアーキテクトであると同時に、現在チームリーダーとして、同時に多数のプロジェクトを並行して主導しています。早期にデザインビジョンを示しプロジェクトを軌道に乗せていくことが、チームリーダーとしての自身の役割。また、近年は若手社員の育成を求められる立場にもなりました。ランドスケープグループ全体を俯瞰で見たとき、20代から30代前半までのスタッフをいかに次のステージに押し上げていけるか、それが非常に重要な課題と認識しています。
「ネイチャーポジティブ」の
思想をベースに
都心に「森」を創り出す
現在、都心で進められている大規模再開発のプロジェクトに携わっています。これは複合施設を建築するにあたって、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の考えのもと、建物の上に巨大な「森」をつくりだそうという挑戦です。時間とともに移ろう自然界の森の発達フェーズにならい、多様な樹林環境がモザイク状に混ざり合う空間の中で、人と自然が心地よく共生できる屋外環境をつくることを目指しています。「森」といえば“緑”を思い浮かべますが、私たちが重視しているのは、より健全で持続可能な“質の高いみどり”です。そのためには、基盤となる土壌をどうつくるかがとても重要になります。生理的に強く健全な生態系を地下から育てられないか。そうした視点から、私たちは関連分野の研究者の方々とも協働し、持続的かつ自律的に循環する森を都心の中に生み出すことに挑戦しています。また、このプロジェクトは開発諸制度における非常に高い緑化の基準を満たす必要がありますが、画一的に「量」を確保すればよいということではありません。それが周辺の環境や生態系、さらには都市で暮らす人々にどのような効果をもたらすのかを踏まえ、より長い時間軸で緑の「質」を重視した取り組みを意識しています。日建設計のランドスケープアーキテクトは、もはや決まった境界の中だけで仕事をする「外構屋」ではありません。敷地を越えて、科学と芸術の両面からアプローチすることで、建物の内外や過去と未来、人と自然を結び直し、都市全体が中長期的に成長していくための道筋を支える役割を担っていると考えています。
日建設計ならではのアプローチで
その土地の環境ポテンシャルを
引き出したい
近年、気候変動によってますます都市環境の過酷さが増しています。その中で、都市にいかに持続可能な自然や緑を取り戻していくか、さらにそれらが人々にとって快適な居場所となるよう、いかに空間デザインとして昇華できるか、その追求こそが私の変わらないテーマです。建築、ランドスケープ、土木、都市など分野横断的に様々な手法を組み合わせた日建設計ならではの都市再生のアプローチで、その土地の環境ポテンシャルを引き出し、生物多様性の創出や人の生活のQOLの向上など、社会課題解決の役割を果たしていきたいと考えています。例えば、現在取り組んでいる大規模開発プロジェクトにおいては、デジタルデザインチームと協働し、土地の自然環境や建築などの物理条件、植物の個体別特性など、客観的な解析データに基づく配植検討プロセスを実践しています。また、社外の異分野との連携にも力を入れており、土壌環境の検討では、ビッグデータを用いて植物と地下真菌ネットワークを研究する企業と協働し、健全な生態系を地下からどのように育てられるかを探っています。こうした外部の専門家との積極的なコラボレーションによって、日建設計のランドスケープはさらに魅力的になっていくと感じています。
入社して感じたこと
前職はアトリ系事務所でしたので、組織設計事務所との違いはやはり感じました。ただ日建設計は組織設計事務所ではありますが、外から想像していた以上に風通しがよく、入社当時キャリアが浅かった私も、一人のプロフェッショナルとしてきちんと尊重されていると感じました。また、キャリアに対する前向きな思いや考えを積極的に発信していけば、自分が描くキャリアパスをある程度自らの手でかたちづくっていける寛容さが、日建設計にはあると思います。
OFFの日の私
天気が良ければ家族で公園に行ってピクニックをしたり、子供と一緒に体を動かしたりすることが多いです。月1回くらいは近場で日帰り登山(低山)にも行きます。日頃デスクワークが多く、体が凝り固まっているので、できるだけ休日は体を動かすようにしています。